最大強度1.5テスラのMRIスキャンシステムの使用が条件付きで承認
セント・ジュード・メディカル株式会社は4月5日、Quadra Assura(TM)両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)がMRI対応の医療機器製造販売承認を取得し、5月からMRI対応CRT-Dとして日本で上市すると発表した。これによりQuadra Assura CRT-Dは、最大強度1.5テスラの磁気共鳴画像法(MRI)スキャンシステムの使用が条件付きで承認されることになる。
画像はリリースより
心臓再同期療法(CRT)は、心不全患者でしばしば拍動がずれる両心室の動きを再同期させるペースメーカ療法。心臓内の収縮のタイミングのズレをペースメーカ等で補正することで、正常に近いポンプ機能をとり戻すという。
世界では約2300万人が、心臓が弱って十分な量の血液を送り出す能力を失う進行性の疾患であるうっ血性心不全に罹患しており、毎年世界中で200万例が新たに診断されている。CRTは、欧米での大規模試験によって治療効果が認められており、心不全の治療法の1つとして確立されつつある。また、薬物治療で効果の得られなかった患者において良い結果が得られたとの報告もあるという。
心不全患者の画像診断の利用機会を向上、QOLを改善
同社のMRI対応Quadra Assura CRT-Dは、市場初の4極CRT-D技術を提供し、これによって医師は心臓の左室の複数箇所でペーシングを行うことが可能となる。また、4極ペーシングシステムによるCRTを最適化することによって、再インターベンションによる高額かつ侵襲的なリード変更の可能性やCRTの効果がないという症例を低減し、医師にとっては患者のニーズに基づいた選択肢の幅が広がるとしている。同社によると、Quadra Assura CRT-Dにより、生活の質を改善すること、入院率を53%低下させることが実証されているという。
さらに同機器は、遠隔モニタリングによる患者管理を目的としたMerlin.net(TM)患者ケアネットワーク(PCN)に対応。この遠隔モニタリングシステムによりデバイスによる治療の実施、治療後の状態を的確に把握できるとともに、心房細動関連事象の早期発見と心不全関連に伴う入院期間の減少に貢献することが期待される。
今回のMRI対応の医療機器製造販売承認取得により、デバイスを植え込んだ患者が従来は絶対禁忌であったMRI撮像による画像診断を一定の条件下で受けることができるようになったことは、患者のQOLにとって大きな意味を持つ。同社は、現在販売している他のICDやCRTについても、医療機器製造販売承認の一部変更申請を行うことを検討中で、実行されれば、より多くの患者が安全にMRIスキャンを受けられるようになるとしている。
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