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原発閉塞隅角緑内障に関連する新規5染色体領域をゲノムワイド関連解析で同定-京都府医大

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2016年04月07日 AM11:30

既に報告されている3領域に加え、新たな5領域の同定に成功

京都府立医科大学は4月4日、原発閉塞隅角緑内障に関連するバリアントが存在する染色体領域として、新たに5領域(EPD 1、GLIS3、DPM2-FAM102A、CHAT、FEM2)同定することに成功したと発表した。


画像はリリースより

この研究は、同大学院ゲノム医科学田代啓教授、感覚器未来医療学木下茂教授ら研究グループによるもの。研究成果は「Nature Genetics」オンライン版に4月5日付けで掲載されている。

国内における中途失明原因の第1位である緑内障のリスクファクターとしては、眼圧の上昇があり、眼圧降下剤が点眼薬として処方されているが、緑内障の進行を抑制できるものの根治療法ではない。日本の大規模疫学調査によれば、40歳以上の有病率は約5%、病型別にみると、原発開放隅角緑内障が3.9%、原発閉塞隅角緑内障は0.6%を占める。さらに、70歳台になると有病率は10%にも上昇することから、緑内障発症メカニズムの解明と、それを起点とした分子標的薬の創生が強く望まれている。

原発閉塞隅角緑内障の病因・病態の分子メカニズムを解明に期待

研究グループは、これまでに原発開放隅角緑内障および落屑緑内障に特有なゲノム配列の違い(バリアント)を同定し、緑内障の発症に関連する遺伝的要因の解明を勧めてきたが、今回は緑内障の重要な病型の1つである原発閉塞隅角緑内障について検討を行った。

今回の研究では、統計学的検出力を向上させるために、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、南北アメリカ諸国(合計24か国)から原発閉塞隅角緑内障患者10,404検体、非緑内障健常者29,343検体を、各国各施設での倫理承認とインフォームドコンセントのもとに収集、相関解析を実施した。

その結果、8領域のバリアントが再現された(P<5×10-8)が、このうちの3領域 (PLEKHA7、COL11A1、PCM D1-18)は既に報告されていたが、残りの5領域(EPD1、GLIS3、DPM2-FAM102A、CHAT、FEM2)が新たに同定された。これらの遺伝子は主要なヒト眼組織(虹彩、毛様体、線維柱帯、角膜、水晶体、網膜、脈絡膜、視神経乳頭、視神経)における発現が検出されたことから、原発閉塞隅角緑内障の病因や病態に関与していることが示唆されたという。

今回の研究は、原発閉塞隅角緑内障の病因・病態の分子メカニズムを解明するために必須な基盤的研究成果であると研究グループは述べている。

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