進行・再発の結腸・直腸がん患者を対象に
大鵬薬品工業株式会社は4月1日、経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤「TAS-102」(日本での製品名:「ロンサーフ(R)配合錠T15・T20」、一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)に関して、アジア(中国、韓国、タイ)における進行・再発の結腸・直腸がん患者を対象とした臨床第3相試験「TERRA」の速報結果が得られたと発表した。
同試験は、無作為割付・二重盲検・プラセボ対照の臨床第3相試験で、中国、韓国、タイの3か国から406名の患者が登録された。対象は、少なくとも2種類以上の標準化学療法(フッ化ピリミジン系薬剤、イリノテカン、オキサリプラチン)に不応となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者。TAS-102の有効性を検証することを目的に、患者をTAS-102投与群またはプラセボ投与群にランダムに割り付けた。
試験の結果、主要評価項目である全生存期間を有意に延長する結果が得られたという。また、TAS-102の忍容性は概ね良好で、報告された副作用は過去の試験と同様だった。なお、同試験の結果の詳細は、今後国際的な学術集会にて公表する予定としている。
アジアで増加傾向にある結腸・直腸がんの罹患率
結腸・直腸がんの罹患率はアジアにおいて増加傾向にあり、死亡率も肺がん、肝がん、胃がんに続いて4番目に高い。2012年には、アジアで33万1,600人が結腸・直腸がんにより死亡したと報告されている。
TAS-102は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、フルオロピリミジンとは異なる作用機序を有している。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されている。TPIはFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持するという。
同剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が販売。米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸癌」の適応症で、米子会社である大鵬オンコロジー社が販売している。また、欧州・その他地域(北米・アジア以外)における同剤の開発および商業化は、ライセンス契約を締結しているフランスのセルヴィエ社が実施。今年2月25日に欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)より、「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、および抗EGFR抗体療法を含む既存治療の施行後、またはこれらの治療法が適応とならない、遠隔転移を有する成人の結腸・直腸癌」を対象に承認勧告を受領した後、欧州委員会にて現在審議中。
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・大鵬製薬株式会社 ニュースリリース