厚生労働省は、臨床研究の法制化による対応を強化するため、製薬企業が臨床研究の資金提供を行う場合は契約を結んだ上で実施することを義務づける方針を打ち出した。研究者と製薬企業の関係を契約により明確化すると共に、製薬企業に臨床研究に関する資金提供の公表を義務づけることで透明性も確保する。
3月29日に開かれた自民党厚生労働部会・社会保障制度に関する特命委員会医療に関するプロジェクトチーム合同会議に示した。臨床研究に関する適正化法案では、ディオバン事件の問題点を教訓に、まず製薬企業には、資金提供している医薬品の臨床研究について毎年度、資金提供の状況を公表するよう義務づけることにしているが、さらに契約を締結して実施することも義務づける。
資金提供の公表範囲は、臨床研究費、自社製品の研究責任者が所属する機関への寄付金、原稿執筆料・講師謝金等については義務づけ、これに違反した製薬企業に対しては、指導・助言、勧告を行い、勧告に従わない場合は企業名を公表するとしている。
研究者に対しては、資金提供を受けた臨床研究について、データ改ざん防止のためモニタリング・監査の実施などを盛り込んだ臨床研究実施基準の遵守を義務づけ、これに違反した場合は改善命令、研究の中止命令を行えるよう行政の権限を強化すると共に、罰則規定を設ける。
さらに、研究機関への立入検査、報告徴収も行えるようにし、これを忌避したり虚偽の報告をした場合は罰則を与えることができるようにする。