法廷に証拠を提出する意向を表明
3月30日、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン薬害訴訟全国弁護団が国とHPVワクチンの製造会社に対し、提訴する構えを表明したことを受け、「ガーダシル(R)」の日本の製造販売業者であるMSD株式会社はステートメントを発表。「無作為臨床試験を含む、圧倒的な科学的エビデンスがあることから、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会のこれまでの主張に根拠はない」とし、提訴が行われた場合、MSDは法廷で証拠を提出する考えであることを表明した。
ステートメントでは安全性の根拠として、9~45歳の男女29,000人以上を対象とした7つのフェーズ3の臨床試験や米疾病対策予防センター(CDC)が2016年3月に発表したデータなどを挙げている。
WHO「乏しい根拠に基づく政治的判断」と日本を名指しで批判
子宮頸がんワクチンについては、世界保健機関(WHO)のワクチンの安全性に関する諮問委員会(GACVS)が2015年末に日本を名指しして声明を発表。「国の専門家会議(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)による臨床データの評価から、ワクチン接種と(報告されている)症候群との因果関係はないとの結論に達しているにもかかわらず、子宮頸がんワクチンの接種再開の合意には至っていない」と指摘したほか、「結果として、若い女性たちが、予防できるはずのHPV関連のがんの危険に晒されるままの状態となっている。GACVSが以前から指摘している通り、乏しい根拠に基づく政治的判断は、安全で有効なワクチンの使用を妨げ、最終的に真の被害をもたらす可能性がある」と批判している。
日本人における子宮頸がんワクチンの副反応についても、2015年に名古屋市が大規模調査の結果を公表。慢性症状などの24症状で、接種者が有意に多い症状ゼロと報告している。