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2型糖尿病等の生活習慣病の予防にウンシュウミカンが有用か-農研機構

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2016年03月29日 AM06:00

浜松市(旧三ヶ日町)における10年間の追跡調査から

農業・食品産業技術総合研究機構は3月23日、浜松市での10年間の追跡調査の結果、β-クリプトキサンチンを多く含むウンシュウミカンの摂取が2型糖尿病等の生活習慣病の予防に有用である可能性が示唆されたと発表した。


画像はリリースより

欧米を中心とする最近の栄養疫学研究から、果物・野菜の摂取が、がんや循環器系疾患の予防に重要であることが明らかにされつつある。また、これらの生活習慣病の発症に酸化ストレスの関与が示唆されるようになり、果物・野菜に多く含まれるカロテノイド等の抗酸化物質が酸化ストレスを軽減することで様々な生活習慣病の予防に有効であると考えられるようになってきた。

農研機構の果樹研究所は、浜松医科大学健康社会医学講座、浜松市(旧三ヶ日町)と合同で2003年度から継続して栄養疫学調査(三ヶ日町研究)を実施。三ヶ日町研究では、ウンシュウミカンに多く含まれるβ-クリプトキサンチンや緑黄色野菜に多いβ-カロテン、葉物野菜に多いルテインなどのカロテノイド色素とさまざまな健康指標との関連を調査している。

今回は、調査開始から10年間で追跡調査が完了した910名について、β-クリプトキサンチンをはじめとする血中カロテノイド値と2型糖尿病等の生活習慣病の発症リスクとの関連について縦断的に解析したという。

2型糖尿病の発症リスク、統計的に有意に低く

まず、調査開始時に既に2型糖尿病(診断基準:空腹時血糖値が126mg/dL以上、または糖尿病治療薬を服薬中の者)を発症していた被験者を除いて、血中β-クリプトキサンチン濃度について、低いグループから、高いグループまでの3グループに分け、各グループでの2型糖尿病の発症率を調査。その結果、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける2型糖尿病の発症リスク(ハザード比)は、低濃度のグループを1.0とした場合0.43となり、統計的に有意に低い結果となったという。

また同様に、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける脂質代謝異常症の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.66となり、統計的に有意に低い結果となった。さらに、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける非アルコール性肝機能異常症の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.51となり、統計的に有意に低い結果となった。どの関連も、喫煙・運動習慣や総摂取カロリー、アルコール摂取量などの影響を取り除いても統計的に有意だったという。

なお、調査開始時の血中β-クリプトキサンチン濃度の平均値は、低グループでおよそ0.5μM、中グループで1.5μM、高グループで3.5μMだった。それぞれのウンシュウミカンの摂取量は、低グループでは毎日は食べていない、中グループでは毎日1~2個、高グループでは毎日3~4個食べていたという。

農研機構果樹研究所では、今回の成果を活用し、ウンシュウミカンの機能性訴求ポイントを増やすために産地と検討を進めていくとしている。

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