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特例再算定「イノベーション軽視」-日薬連 野木森会長

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2016年03月28日 PM12:00


■国内市場は2極化、国際展開促す

日本製薬団体連合会の野木森雅郁会長(アステラス製薬会長)は、薬事日報のインタビューに応じ、4月から実施される2016年度薬価制度改革について、「製薬業界にとって厳しい改定となった」と総括した。特に今回から導入された年間売上が大きい品目に適用される特例拡大再算定の打撃が大きく、「イノベーションを軽視した形で、新たな薬価を引き下げるルールが朝令暮改的に作られ、それが事業の予見性を失わせる事態を招いたのは、極めて理不尽」と批判した。一方、今後の日本の市場環境は長期収載品が縮小し、「新薬を扱う企業、後発品を扱う企業が明確になり、2極化の方向に向かう」と予測。国内市場成長の鈍化も見込まれ、国際展開への動きが活発化するとの見方を示した。

野木森氏は、業界全体の薬価改定率が特例拡大再算定等を含め、薬剤費ベースで7%台後半となった今回の薬価改定について、「過去数回の改定に比べ、製薬業界が大きな影響を受けており、厳しい結果であった」と語った。新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行継続、基礎的医薬品の薬価を維持する新制度、先駆け審査指定制度加算の導入に関しては、「評価すべき」とした一方、C型肝炎治療薬「」などで大幅な薬価引き下げが適用された特例拡大再算定に対しては、「イノベーションの評価という視点からは大きくかけ離れている予見性を損なうルール変更であり、強く反対したい」と述べた。

「新薬の開発には長期を要し、予見性のある薬価制度があるから研究開発投資を行うことができる。薬価算定の前提条件が大きく変化していないのに、売れすぎたという理由だけで薬価をすぐに引き下げるのはイノベーションの適正な評価ではないのではないか」と指摘。その上で、「現在あるルールを大事にしていただきたい。ルールが定められているから将来のビジネスを見通すことができるのであって、製品上市後に急にルールを変えられたら、われわれのビジネスは成り立たない」と不満を示した。

薬価制度の方向性が医療費削減という観点に重きが置かれて決定されているプロセスにも懸念を示し、「治療法のない疾患で新薬を開発していくこと、品質が高い製品を安定的に供給していくことがわれわれに求められていることであり、産業育成や医療の質向上を見据えたトータルな視点で資源配分していくような議論をお願いしたい」と要望した。

一方、長期収載品の縮小など日本の市場環境が厳しくなる中、「各企業が持続的成長を実現するためには事業の方向性を再確認する時期に来た」とし、「新薬メーカーは自社の強みを理解し、どの疾患領域で新薬を開発していくかを考えないといけないし、後発品メーカーは国の後発品の使用促進目標に対応し、品質確保や継続的な安定供給という観点を踏まえ、製品を大切に販売していかないといけない」と各企業に変革を求めた。

その中でも、日本市場の成長鈍化は免れず、「現在は世界の8~10%にとどまる日本市場は、今後の途上国の台頭により、そのウエイトは減っていくことが予想される。日本での事業展開だけでは小さなパイの奪い合いになり、成長を図るのは難しいのではないか」と述べ、新薬メーカー、後発品メーカーの成長には国際展開が必須になるとの考えを示した。 
また、日薬連をはじめとする業界の対応として、今後、医薬ビジネスに直接的にかかわる事項だけではなく、間接的にかかわる事項に関しても、積極的に国との議論にかかわっていくような活動を考えるべきとの見解を示した。

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