■国内市場は2極化、国際展開促す
日本製薬団体連合会の野木森雅郁会長(アステラス製薬会長)は、薬事日報のインタビューに応じ、4月から実施される2016年度薬価制度改革について、「製薬業界にとって厳しい改定となった」と総括した。特に今回から導入された年間売上が大きい品目に適用される特例拡大再算定の打撃が大きく、「イノベーションを軽視した形で、新たな薬価を引き下げるルールが朝令暮改的に作られ、それが事業の予見性を失わせる事態を招いたのは、極めて理不尽」と批判した。一方、今後の日本の市場環境は長期収載品が縮小し、「新薬を扱う企業、後発品を扱う企業が明確になり、2極化の方向に向かう」と予測。国内市場成長の鈍化も見込まれ、国際展開への動きが活発化するとの見方を示した。
野木森氏は、業界全体の薬価改定率が特例拡大再算定等を含め、薬剤費ベースで7%台後半となった今回の薬価改定について、「過去数回の改定に比べ、製薬業界が大きな影響を受けており、厳しい結果であった」と語った。新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行継続、基礎的医薬品の薬価を維持する新制度、先駆け審査指定制度加算の導入に関しては、「評価すべき」とした一方、C型肝炎治療薬「ソバルディ」などで大幅な薬価引き下げが適用された特例拡大再算定に対しては、「イノベーションの評価という視点からは大きくかけ離れている予見性を損なうルール変更であり、強く反対したい」と述べた。