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食事バランスガイド遵守と死亡リスク、コホート研究結果を発表-国がん

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2016年03月25日 PM02:30

長寿の秘訣と言われる日本人の食生活

国立がん研究センターの予防研究グループは3月23日、多目的コホート()研究から、食事バランスガイド遵守と死亡との関連について検討した研究結果を発表した。この研究により、食事バランスガイドをよく守っている人ほど死亡リスク、特に脳血管疾患による死亡リスクが低下していることが示されたという。この論文は、「British Medical Journal」に3月22日付けで掲載されている。


画像はリリースより

日本は長寿国のひとつで、男女とも健康寿命は世界第1位。その理由として、社会経済要因や国民皆保険といった医療制度のほか、日本人の食生活が挙げられる。2005年に厚生労働省・農林水産省が策定した食事バランスガイドでは「何をどれだけ食べたら良いのか」について目安が示されており、これに沿って食生活を見直すことで健康寿命のさらなる延伸が期待されている。そこで同研究グループは、多目的コホート研究において、食事バランスガイドの遵守度と死亡との関連について検討を行った。

食事バランスガイドの遵守度が高い人ほど死亡リスクが低下

1990年に開始した多目的コホート研究において、研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、主食(ごはん、パン、麺)、副菜(、きのこ、いも、海藻料理)、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)、牛乳・乳製品、、総エネルギー、菓子・嗜好飲料由来のエネルギーの各摂取量を10点満点として評価し、70点満点の食事バランスガイド遵守得点を算出。対象者を得点によって4つのグループに分け、その後平均15年の死亡(全死亡・がん死亡・循環器疾患死亡・心疾患死亡・脳血管疾患死亡)リスクを比較した。

その結果、食事バランスガイドの遵守得点が高いほど総死亡のリスクが低下しており、遵守得点が10点増加するごとに総死亡リスクが7%減少していたという。死因別に検討したところ、食事バランスガイドへの遵守度の高い人ほど循環器疾患死亡、特に脳血管疾患死亡のリスクが低いことが判明。がんについても遵守度が高い人ほど死亡リスクが低い傾向だったが、統計学的に意味のある違いではなかったという。

諸外国における食事ガイドラインに関する研究でも、同様の結果が報告されている。循環器疾患のリスク低下との関連は、食事バランスガイドの副菜および果物の遵守得点が高い人で顕著に認められた。このことは野菜・果物の高摂取による循環器疾患のリスク低下を報告した国内外の研究と一致する。一方、脳血管疾患死亡のリスク低下は主菜の食事バランスガイド遵守得点が高い人で顕著だった。この結果は、魚や肉の摂取量が多いと脳血管疾患のリスクが低いという国内外の研究データによって支持されるという。

今回の研究結果から、食事バランスガイドに準じて、不足しがちな野菜や果物を積極的に摂取し、バランスの良い食生活を心掛けることが大切である、と研究グループは報告している。

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