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【クオール薬局伊勢崎店】癌患者に薬剤師担当制導入-問合せ増、副作用を早期発見

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2016年03月25日 AM10:00


■かかりつけ薬剤師のモデルに

群馬県伊勢崎市にあるクオール薬局伊勢崎店は、癌患者を対象に薬剤師担当制を導入し、患者に寄り添って支援する体制を構築した。その患者を担当する薬剤師は服薬指導など全ての対応を引き受け、患者からの相談も薬局の携帯電話で24時間受け付ける。患者に電話をかけて服薬状況や副作用の発現も確認している。担当制の導入によって患者からの問い合わせが増え、副作用の早期発見にもつながった。今春の診療報酬改定を受け、かかりつけ薬剤師のあり方に注目が集まる中、そのモデルの一つになりそうだ。

このほど開かれた日本臨床腫瘍薬学会学術大会で同店の笹原侑祐氏は、「自分が癌患者になったら、どんな薬局で薬を受け取りたいかと考えた。日頃、癌患者と接する機会は多いが、かぜや生活習慣病の患者と同じ対応をしていることに疑問を持っていた」と述べ、癌患者に寄り添えるように担当制を導入したという。

同店の薬剤師は、服薬指導時に担当制の仕組みを患者に説明して同意を取得。その上で名刺を渡して自己紹介し、担当することを宣言する。以降は、基本的にその患者を担当する薬剤師が全ての対応を引き受ける。名刺には薬局の携帯電話番号を記載。電話での相談を24時間受け付ける。

さらに、担当薬剤師は次回来局までの間に患者に電話をかけて、服薬状況や副作用発現などを確認する。副作用が認められた場合にはグレードを評価した上で、病院の医師や薬剤師にその情報をフィードバックし、緊急性がある場合は即座に受診を勧告する。

この方法は、クオール薬局グループが2013年から全社的に導入。「ダイレクトテレフォン」と称し、昨年8月までに総計で1万件以上を実施している。

ダイレクトテレフォンに加え、独自の取り組みとして担当制を導入した伊勢崎店では実際に、副作用の早期発見につながった症例があったという。

例えば、抗癌剤「ユーエフティ」を退院後も継続服用する67歳男性の大腸癌患者からある日、薬局に電話がかかってきた。発熱や下痢、食欲不振があるがどうしたらいいかという問い合わせだった。その患者には「ユーエフティ」による急性腸炎を入院中に発症した既往歴があったため、担当薬剤師は急性腸炎の再発を疑い、直ちに病院に連絡し、医師の指示によって服用は中止となった。早期の対応によって、症状はすぐに改善し、笹原氏は「何よりも嬉しかったのは、患者さんが薬局に連絡をくれたこと。担当制の意義を感じた」と成果を語った。

同店は、8項目の質問によるQOL評価を約330人の患者に実施している。このうち1症例の癌患者で担当制導入前後のQOL変化を比較できた。担当制導入後は、全体的な健康感や活力が向上するなど身体的QOLが改善していた。

「1例のみのデータなのではっきりとは言えないが、QOLの向上に何らかの力添えができたのかなと思う」と笹原氏。「薬剤師の積極的な介入は、抗癌剤の適正使用を促し、副作用の早期発見が可能となる。担当制によって患者からの問い合わせが増加し、患者の相談窓口として薬局が十分に機能した。癌患者のQOL向上に貢献できる可能性がある」と話した。

現在、同店に所属する7人の薬剤師のうち、新人などを除く4人が担当制を実施している。1人が受け持つ患者数は5~8人。「担当患者数を増やしたいが、受け持つ数が増えると業務に支障が出るため、これくらいが限度」(笹原氏)。同店は年中無休で23時まで開店しており、20~21時頃の時間帯の問い合わせが多いという。

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