医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 僧帽弁置換術後PVLに対する心尖部アプローチでの経カテーテル逆流孔閉鎖術に成功-国循

僧帽弁置換術後PVLに対する心尖部アプローチでの経カテーテル逆流孔閉鎖術に成功-国循

読了時間:約 1分17秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2016年03月24日 PM02:00

日本初の心尖部アプローチによる経カテーテル逆流孔閉鎖術

国立循環器病研究センターは3月22日、小林順二郎副院長のチームが3月14日に僧帽弁置換術後弁周囲逆流(PVL)に対する経カテーテル逆流孔閉鎖術に成功したと発表した。心尖部アプローチによる成功は国内初。


画像はリリースより

僧帽弁置換術後PVLは、人工弁置換術後の5~17%に生じるといわれており、溶血、心不全を引きおこす場合がある。標準治療は外科的再手術であるが、2回目の開胸手術の死亡率は10%近く、基礎にある組織脆弱性、炎症、または石灰化のために再発する可能性も高いのが現状だ。

このため、溶血や心不全といった症候性のPVLのうち、欠損孔の形態が現在使用可能なデバイス留置に適している症例であり、高齢や頻回の手術など外科的修復術がハイリスクである場合、経カテーテル逆流孔閉鎖術を考慮することがガイドラインとして示されている。 海外では、「AMPLATZERバスキュラープラグII」を使用した経カテーテル逆流孔閉鎖術が広く行われているが、日本では、これまで心房中隔からのアプローチによる経カテーテル逆流孔閉鎖術が数件行われていたものの、操作性が悪く手術時間が4時間前後と長くなるという問題があった。

約2時間の手術でPVLが高度から軽度に改善

今回、この治療法を実施したのは、過去3回の開心術を経験した70代男性。他院でPVLに対する再手術(開心術)を行ったが、再発により同センターを受診したという。同センターのハートチームは、心尖部アプローチによる経カテーテル逆流孔閉鎖術を施行し、手術時間約2時間でPVLが高度から、軽度に改善させたという。

この治療法は、心尖部より直接心臓へ穿刺し、カテーテルを挿入。経カテーテル的にワイヤーを逆流孔へ通して、閉鎖デバイスを運び留置することで、逆流孔からの血液の逆流を止めるというもの。これにより、再手術が必要な患者に対し、・短時間での治療が実現した。同チームは、今後もこの治療法を臨床研究として、4人の患者に行う予定としている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか