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日病薬・川上常務、無菌製剤処理料「メッセージ性高い」-喘息管理料で外来評価に道

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2016年03月23日 AM10:30


■かかりつけが病薬連携促す

日本病院薬剤師会で医療保険を担当する川上純一常務理事は、薬事日報社のインタビューに応じ、2016年度診療報酬改定で新設された無菌製剤処理料1(180点)について「大きな意味がある」と強調。閉鎖式接続器具の使用を促し、対象薬剤も拡大。努力規定だった安全キャビネットの使用も義務となり、医療安全を重視する「相当にメッセージ性の高い改定」と語った。また、外来の喘息患者に吸入器具を用いた服薬指導をした場合の喘息治療管理料2の新設を「将来の薬剤師外来の評価につながる」とし、調剤報酬のかかりつけ薬剤師指導料にも言及。かかりつけが「病薬連携」を促進し、患者の入院前後のシームレスな薬物治療を管理できると評価し、「ぜひ薬局薬剤師に機能を発揮してほしい」と要請した。

16年度改定では、ICU等への薬剤師配置を評価する「病棟薬剤業務実施加算2」が新設された。当初、病棟加算の対象拡大が予想されたが、通常の病棟加算の週100点に上乗せする形で1日80点と手厚い評価となった。川上氏は「ICU病棟は病床数が10床前後と少ないが、高密度な薬学的ケアを提供しているため、病棟加算と別枠で1日80点の高い点数を上乗せする形になったことは良かった」とした。

また、病棟加算の留意事項通知で「特定入院料に含まれるものとする」との項目が削除され、特定入院料に包括されていた病棟でも算定できるようになったことを指摘。「次回改定以降の展望が広がる大きな変更」と評価した。療養病棟や精神病棟の8週以降の制限緩和は認められなかったが、「もう少し長期的な慢性期のステージで患者の在宅移行が早まったなどのエビデンスがなければ難しいのでは」と印象を語った。

抗癌剤の曝露防止を目的とした無菌製剤処理料1については、閉鎖式接続器具を使った場合に180点と高く評価する一方、使わない場合は45点に減点してメリハリが付けられた。揮発性の高い薬剤に限られていた対象薬剤の要件も削除され、全ての抗癌剤で算定可能となった。さらに、努力規定だった安全キャビネット使用が義務規定となったことから、川上氏は「点数以上に(医療安全への)メッセージ性が高い改定となった」と評価。今後、抗癌剤の調製場面のみならず、投与場面の評価も目指すべきとの考えを示した。

新設された喘息治療管理料2では、吸入ステロイド薬が必要な外来喘息患者に吸入器具を用いた服薬指導等を行った場合、初回のみ280点が算定できることになった。器具費用も含まれた点数ではあるものの、川上氏は「薬剤師も関与し得る医学管理料として意味がある。薬剤師は医師の診察前に外来で服薬状況を聞き取ったり、診察後に薬の使い方や吸入指導をしていたが、それが少しでも形になったことは大きい。将来的に薬剤師外来が評価される芽になるだろう」との見方を示した。

一方、ポリファーマシー対策として新設された薬剤総合評価調整管理料(250点)について、処方内容の調整で別の保険薬局等と照会、情報提供を行った場合は「連携管理加算」として50点が算定可能となった。病院薬剤師にとって入院中の患者の処方内容を調整し、外来移行後につなげる連携が評価される一方、薬局薬剤師は調剤報酬で重複投薬相互作用防止等加算として30点を算定でき、病院・薬局連携が評価される土台ができた。

川上氏は「いままで病院と薬局の連携をどう評価するかは難しかったが、薬局に橋渡しをする橋桁ができたことは制度として非常に意味がある」と話す。

さらに、連携の観点では調剤報酬の「かかりつけ薬剤師指導料」が大きな意味を持つと強調する。入院患者を担当する病院薬剤師は患者の持参薬を確認し、入院前の薬物治療を推測せざるを得なかったが、今後かかりつけ薬剤師がお薬手帳を用いて過去の受診歴などを一元管理することで、病院薬剤師と担当のかかりつけ薬剤師が直接情報をやりとりでき、「病・薬連携」の進展が予想される。

川上氏は「入院前から退院後まで、患者さんの薬物治療をシームレスに管理できる」とメリットを指摘した上で、「地域包括ケアシステムの中では医療機関との連携が必要で、患者さんが入院し、在宅に戻っていく架け橋になれるのが、。そういう視点で医療機関側に情報提供していただきたいし、ぜひ機能を発揮してほしい」と薬局薬剤師に呼びかけた。

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