1,000台規模のロボットを導入し、各種データ収集や解析を支援
日本医療研究開発機構(AMED)は3月17日、介護現場におけるコミュニケーションロボットの活用可能性を探るため、1,000台規模のロボットを導入し、実際の現場で実証的にデータの収集、解析を行い、ロボット導入の効果と有用性を明らかにする大規模実証調査を行うと発表した。
画像はリリースより
今回の調査では、まず実証対象とするロボットを公募。公募においては応募者であるロボットの提供者等から、どういう機能を持ったロボットなのかを提示してもらい、その上で、AMEDが別途指定する「基準策定・評価事業者(学術・医療機関)」が内容を審査・検討、さらに外部評価委員の意見を踏まえて、実証調査の対象とするかを決定する。
その後、選定したロボットを使って収集するデータや活用方法について、AMEDから一定のフレームワークを示した上で、今回の実証調査への参加・協力を希望する介護施設等を別途公募し、それぞれのニーズも踏まえて、実証調査対象となったロボットによるデータ収集を行う。こうして得られたデータを、学術・医療機関等の指導・協力を得て、ロボットに求められる要件として整理・解明し、実証対象となった各ロボットメーカー等にフィードバックする予定。
介護現場で求められる機能を特定し、開発の方向性を明確に
コミュニケーションロボットには、音声認識機能、顔認識機能、インターネット等の通信機能等が付与されており、対人コミュニケーションを支援するという意味で、介護現場への導入が進みつつある。しかし、導入の効果については、例えば、笑顔が増えた、会話が増えたなどの定性的な報告はあるものの、今後の介護現場においてどのような活用が想定・期待されるかを予見するための定量的な指標はまだない。
また、現在、コミュニケーションロボットを販売または開発する事業者は、それぞれが自らの機器の機能や効能を謳っているものの、今後の社会的な取り組みとして、介護者、被介護者双方の質的向上を図っていくためには、こうしたロボットが、それぞれの機能や特徴に応じて適正に活用されることが重要と考え、今回の調査に至ったという。
今回、大規模に実証調査を行うことで、介護現場で実際に求められている機能を特定し、その客観性と定量性を高め、今後のロボット開発の方向性を明確化する。さらに導入効果を定量的に示すことで、介護現場で受け入れやすい機器の開発を促進し、多くの施設、家庭へのロボット普及の後押しとなることが期待される。
▼関連リンク
・日本医療研究開発機構 プレスリリース