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ウイルスが作った「尻切れ」遺伝子が、感染・増殖に活用されることを証明-北大

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2016年03月18日 PM01:00

小さなゲノムの中に感染・増殖に必要な遺伝子を詰め込むための戦略

北海道大学は3月16日、同大大学院農学研究院の薦田(萩原)優香研究員、中原健二講師、内藤哲教授、慶應義塾大学の佐藤昌直特任助教らの研究グループが、クローバ葉脈黄化ウイルスが作る尻切れ遺伝子がウイルスの感染・増殖に必要であることを証明したと発表した。同成果は、「Scientific Reports」オンライン版に2月22日付けで掲載されている。


画像はリリースより

植物に感染・増殖するポティウイルスは、多くの作物や果樹に病気を引き起こし、農業上大きな損害をもたらす。ポティウイルスを含む多くの植物ウイルスは、DNAではなくRNAをゲノムに持つRNAウイルスだ。

一般にRNAウイルスはゲノムサイズを大きくできないため、感染・増殖に必要な遺伝子を詰め込む必要がある。そのためさまざまな戦略をとっているが、その詳細はわかっていなかった。

G2A6より下流部分が欠落したP3遺伝子を「P3N-ALT」と命名

研究グループは今回、クローバ葉脈黄化ウイルスが自身のコピーを複製する時に、P3と呼ばれる遺伝子内のグアニン2個とアデニンが6個並んだ(G2A6)配列で一塩基の欠損を生じることで、P3のG2A6より下流部分が欠落した尻切れのP3遺伝子を発現することを発見。P3N-ALTと命名し、この遺伝子がウイルスの感染・増殖に必要なことを証明した。

さらに、公共データベースに登録されている他の多くのRNAウイルスのゲノム塩基配列にも、一塩基挿入及び欠損を生じる可能性のある同様の配列が多く見つかったという。

これまで、P3N-ALTのような尻切れ遺伝子がウイルスの感染・増殖に必要な機能を果たすとは考えられていなかったが、今回の研究で初めてそれが証明された。また、他の多くのRNAウイルスでも同様の遺伝子が発現している可能性が見出され、この可能性を考慮して研究を進めることで、ウイルスの感染・増殖や病原性に関わる新たな発見が期待されるとしている。

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