77件の提案から3件を採択
日本医療研究開発機構(AMED)は3月14日、「医療機器開発推進研究事業」について、平成28年度より開始する事業の公募を行い、77件の提案の中から3件の医師主導治験に対する課題を採択決定したことを発表した。
画像はリリースより
同事業は、医師主導治験等によって、革新的な医療機器を開発・実用化し、その成果の企業導出を目指すもの。今回採択されたのは、「STS型人工網膜装置」「脳波-BMIリハビリテーションシステム」「流体解析に基づく脳動脈瘤治療用ステント」の3件。
STS型人工網膜装置は大阪大学などの3施設と株式会社ニデックが実施する、進行した網膜変性症に対するSTS型人工網膜装置の医師主導治験。現時点ではまだ有効な治療法がない、進行した網膜色素変性症に対し、電気刺激で神経を興奮させることで視覚機能を回復・補助するもの。3施設において進行した網膜変性の患者にSTS型人工網膜埋植術を行い、1年間の経過観察を実施する医師主導治験を平成29~30年に計画しており、平成31年には薬機法の承認を目指すという。
いずれも平成30~31年までの薬機法承認を目指す構え
脳波-BMIリハビリテーションシステムは脳卒中によって生じた上肢麻痺について、従来のリハビリでは麻痺の回復に至らず利手交換などの代償的治療で対応していた症例でもBMI(Brain-Machine Interface)リハビリシステムを用いることで、脳内の損傷部位以外に新たな運動指令の神経回路を形成して症状の回復を図るというもの。同システムは慶應義塾大学が中心となって開発、検証が行われてきており、同大学を含む4施設による多施設医師主導治験を平成28年度中に開始、慢性期脳卒中患者を同システムで治療した際の上肢機能改善効果の証明と有効性・安全性の検証を行い、平成31年に薬機法承認を目指すとしている。
流体解析に基づく脳動脈瘤治療用ステントは、脳血管構造や脳動脈瘤の形状に応じた治療用のステントサイズ選択を手術者の経験に依存している現状について、コンピューターシミュレーションによって個々の症例に最適なステントを選択して治療を行うもの。これまでに東京慈恵会医科大学と株式会社アルムが共同で、流体力学的手法を用いた血流抑止効果の高い新たなステントを開発している。今後、シミュレーションソフトウエアによって個々の症例に最適なステントを選択できるセミカスタムメイドステントとして提供することを目指し、ステントとソフトウエアの臨床試験及び医師主導治験を行う。平成30年度には両方の承認を受けると共に、保険収載して販売開始までを行う予定としている。
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・日本医療研究開発機構 プレスリリース