高感度・広範囲での測定が可能、検査の効率化に貢献
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は3月11日、全血中の血中薬物エベロリムス(一般名、mTOR阻害薬)を測定する「エクルーシス試薬 エベロリムス」を、3月14日付けで発売すると発表した。
画像はリリースより
同製品は、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)を測定原理とする同社の自動分析装置用の専用試薬。ECLIAにより18分で自動測定が可能で、0.5~30ng/mLという広範囲かつ高感度での血中薬物量の測定ができるという。
検体には全血を用い、検体前処理液を注入・撹拌し、遠心分離を行う前処理が必要となる。前処理液は1種類使用するのみで、他の免疫抑制剤用の血中薬物測定試薬と共通で使用できるため、作業の効率化につながるという特徴がある。
免疫抑制剤投与時に重要な血中薬物濃度のモニタリングに
エベロリムスは、腎臓や心臓の移植手術後に、移植臓器への拒絶反応を抑制するために投与される、免疫抑制剤の一種。臓器移植後だけでなく、ネフローゼ症候群や膠原病などの自己免疫疾患の治療にも広く用いられている。
免疫抑制剤においては、治療に有効かつ安全な最小有効量と最大耐用量の幅(治療血中濃度域)と副作用発現域が近接しており、また薬効や副作用に個人差があることが問題となっていた。作用機序の異なるいくつかの免疫抑制剤を組み合わせて投与されることが多く、各薬剤の血中薬物濃度を測定しながら患者ごとに最適な投与量を調節する必要がある。そこで、継続して血中濃度を測定していく治療薬物モニタリングが必要とされている。
今回の同製品がラインナップに加わることで、臓器移植後に投与される主な免疫抑制剤について、同一検体、同一機器での検査が可能となった。同社は、今後もより安全で効果的な薬剤の投与と検査の効率化につなげていきたいとしている。
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・ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 プレスリリース