2013年の契約に基づき、イメージングFCM製品の早期製品化を目指す
シスメックス株式会社は3月10日、ドイツのメルク社と、メルクが保有するイメージングフローサイトメトリー(イメージングFCM)技術を用いたFISH検査の自動化システムの共同開発に着手したと発表した。
FISH検査とは、特定の遺伝子にだけ結合する蛍光物質を使って、染色体の中にある目的の遺伝子を検出する検査方法。FCMは、微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して個々の粒子を光学的に分析する手法のことで、主に細胞を個々に観察する際に用いられる。イメージングFCMは、大量の細胞を処理できるFCMと、細胞形態・蛍光画像の高速撮像およびそれら画像を自動分析する能力を兼ね備えたメルク独自の技術だ。
シスメックスとメルクは、2013年7月にメルクの保有するイメージングFCM技術に関する臨床研究、共同開発およびライセンス契約を締結。血液疾患への同技術の適用可能性の検証を目的とした臨床研究を共同で実施してきた。この臨床研究の結果をもとに、両社はイメージングFCM技術を活用したFISH検査の自動化システムの開発に着手したという。
白血病検査アプリケーションから適用開始予定
FISH検査はがんの診断などに用いられる染色体の検査方法であり、現状は光学顕微鏡を用いて目視で細胞中の正常・異常遺伝子を検出する。そのため、検査対象となる細胞数が限定的であり、また検査の実施には多大な労力が必要となるなどの課題がある。
今回、共同開発する製品は、自動化による検査プロセスの効率化や標準化に加え、FCMによる計測細胞数の増加による高精度な検査の実現、FISH検査を用いた治療効果モニタニング適用などが期待される。まずは、白血病検査アプリケーションから適用を開始する予定だという。
シスメックスは、メルクとの共同開発により新たな検査技術の確立を推進するとともに、血液疾患マネジメントに関する製品ポートフォリオを拡充。また、将来的には血液などの体液からがん等の疾病の検査を行う「リキッドバイオプシー」の適用範囲拡大に向け、血液疾患検査以外のアプリケーションへの展開も視野に入れて、多様化・高度化する検査ニーズに応える新たな価値創造を継続的に推進していきたいとしている。
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・シスメックス株式会社 ニュースリリース