■基準加算は47%が「算定できず」
2016年度診療報酬改定で新設される「かかりつけ薬剤師指導料」(70点)の算定要件で、保険薬局薬剤師の7割近くが「患者の同意を得ること」を最も難しいと考えていることが、ネグジット総研が実施した改定前調査で明らかになった。かかりつけ機能を評価するため一本化された基準調剤加算(32点)は、4月以降「算定できない」との回答が47.0%に上ったほか、門前薬局の評価を見直すため細分化される調剤基本料についても、現在91%の薬局が41点を算定しているのに対し、4月以降の「調剤基本料1」の算定薬局は76%程度と、算定割合が15%程度下がることが判明した。
調査は、2月24日から今月6日までドラッグストア調剤部門を含む保険薬局勤務薬剤師336人を対象にウェブアンケートを行ったもの。回答のあった約3割が2~5店舗、約2割が単店と、約半数が小規模薬局で、回答者の半数以上が管理薬剤師だった。
その結果、新設の「かかりつけ薬剤師指導料」について感想を尋ねたところ、「今後の薬剤師像が明確になった」との回答が47.3%と最も多かったが、自由回答では「自然とやっていて当たり前」「逆に患者離れにならないか不安」などと、これまで実施してきて当然の業務に対し、改めて患者と契約して点数を算定することに戸惑いの声が多く聞かれた。
かかりつけ指導料の算定方針は、「算定可能か調査中」が41.7%と最も多く、「積極的に算定するため準備している」との回答も21.4%あった。算定要件でクリアすることが難しい項目は「患者の同意を得ること」が67.9%と7割近くに達し、現場薬剤師は算定に当たって患者の同意取得が最も難しいと考えていることが分かった。その上で、どの程度の患者の同意が取得できるか尋ねると、「10人未満」との回答が52.7%と半数以上を占めた。
かかりつけ指導料の施設基準で、3年以上とされた薬局の勤務経験年数は「10~15年未満」が26.8%と最も多く、週32時間以上とされた勤務時間も、「週40~50時間未満」が66.7%と約7割を占め、現在勤務する薬局の在籍期間は「3年未満」が27.4%だった。
また、かかりつけ薬剤師が役割を発揮できる薬局の体制を評価するため32点に一本化された基準調剤加算については、「算定できない」との回答が47.0%と約半数に上るなど、既に現時点で算定困難と考えている薬局が多いことが分かった。特に、基準調剤加算の算定要件で在宅実績をクリアすることが難しいと考えている薬局が36.6%と最も多かった。
門前薬局の評価を見直すため細分化される調剤基本料は、現在41点を算定している薬局が91.4%と9割以上に上るのに対し、4月以降に41点の「調剤基本料1」を算定する薬局は75.6%と最も多かったが、改定後は41点の算定割合が15%程度下がることが明らかになった。
後発品調剤体制加算は、数量シェア65%以上の「加算1」(18点)の算定予定の薬局が38.1%と最も多く、75%以上とハードルの高い「加算2」(22点)の算定見込みが26.5%あった一方、「算定せず」の回答も27.4%あった。さらに、電子お薬手帳の導入については、「導入していない、する予定もない」との回答が65.8%を占め、今後普及が進みにくいことが考えられた。