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光照射で効率的に発熱する新素材「ナノコイル状PDA」を開発-産総研

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2016年03月11日 AM06:00

がん治療第四の選択肢「」に使用する新素材

(産総研)は3月8日、優れた光発熱効果を示すナノコイル状の新素材を開発したと発表した。この新素材は、同研究所機能化学研究部門界面材料グループの丁武孝研究員と、ナノ材料研究部門CNT機能制御グループの都英次郎主任研究員らによって開発されたもの。研究の詳細は、独化学誌「Chemistry – A European Journal」オンライン版に2月5日付けで掲載されている。


画像はリリースより

がん治療では、手術療法、化学療法、放射線療法がその三大療法として知られている。近年、さらに安全で患者への負担の少ない新たな治療法が切望されており、第四の治療法として、温熱療法(光熱療法)が注目を集めている。温熱療法は、正常細胞に比べて、相対的に熱に弱いがん細胞だけを死滅させるというもの。この治療法の実用化のため、生体深部まで透過できる近赤外光を吸収して、少量でも効果的に発熱する安全な材料が望まれてきた。

近赤外レーザーを用いた生体深部のがん治療への応用に期待

温熱療法に使用される代表的な材料として、これまでにカーボンナノチューブ、金ナノロッド、インドシアニングリーン、ポルフィリン誘導体、ポリドーパミン(PDA)などが開発されてきた。特に、体内分泌物質であるドーパミンが自発的に重合してできるPDAは、優れた生体適合性を示し、簡便に量産できるため、次世代の光熱療法に向けた有力材料と考えられているが、PDAは他の材料に比べて光発熱効果が低いことが課題であったという。

今回開発された新素材は、有機ナノチューブの表面に、PDAがコイル状に結合したもの。生体透過性の高い近赤外レーザーを照射すると、高効率で発熱する。培養したがん細胞に少量添加し、レーザー照射したところ、60%以上の細胞が死滅したという。この素材の活用により、近赤外レーザーを利用した生体深部のがん治療用材料への応用や、太陽電池などの省エネルギー分野への応用などが期待される。

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