■薬ゼミ調査
2月27、28日に実施された第101回薬剤師国家試験で、薬剤師国家試験予備校大手「医学アカデミー薬学ゼミナール」が全受験者を対象に実施した自己採点の結果、平均総合正答率は72.5%と第100回に比べ、約5.4%も高くなっていたことが明らかになった。必須問題が約4.9%、理論問題が約5.3%、実践問題が約5.8%上回り、難易度が高かった第99回、100回から一転して、比較的得点しやすい試験になったといえる。薬ゼミでは、廃問や調整を考慮しなければ、合格率は第100回の63.17%を大きく上回り、80%付近まで上昇すると予想。新卒については、さらに上回る可能性があるのではないかとの見方を示している。
薬ゼミが2日現在で1万0482人から自己採点結果を収集し、速報結果を得た。平均総合正答率は第99回、100回より高く、第98回の70.9%も上回る結果となった。中でも平均正答率60%以上の問題を見ると、11題が補正対象となった第100回の231題に比べても第101回は248題と得点しやすい問題が多かったようだ。必須問題をはじめとして、数問だが解答肢から正解を選びやすい問題や、既出問題に関して過去に出題された問題がそのまま出題されたもの、解答肢を2カ所だけ変更した問題などが見られた。
各科目の正答率を第100回と比較すると、物理と薬理の正答率がやや低く、他の科目は全て上回っていた。必須問題では、第100回国試で足切りが多かった物理・化学・生物が第101回では83.4%と高い正答率で、今回は足切りが少ないことが予想される。
理論問題も衛生、法規・制度・倫理で解答しやすかった一方、薬理は例年より正答率が低く、治療は症例・処方の問題が多く、検定の問題は難易度が高かった。例年通り、物理、薬剤、実務を中心にグラフ・計算問題が多く出題され、化学は医薬品構造式に関する問題が多かった。
実践問題はやや平易だった。複合問題には科目をまたいだ連問が出題され、現場で起こり得る事象をもとにした実践的な問題だった。長期実務実習の成果を問う問題も継続的に出題された。使用する検査値を問う問題も出題されており、処方箋に検査値が記載されるようになった現場を意識した出題になっている。
木暮喜久子学長は、今回の国試について、「第99回、100回に比べると比較的得点しやすい試験であった。その一方で、6年制薬剤師に期待されている『考える力』や『医療現場での実践力』『問題解決能力』『臨床能力』を問う問題は、例年通り多く出題されていた」と分析している。
また、今回の国試から、これまでの「総得点率65%以上」という絶対基準から「平均点と標準偏差を用いた相対基準」に変更となり、必須問題を構成する各科目の足切りを現行の50%から30%に引き下げるほか、35%に設定されていた理論・実践の各科目の足切りは廃止となる。ただ、当分の間は移行期間として、総得点率65%以上で、他の基準を満たしていれば合格とする措置が取られる。