医薬品医療機器総合機構(PMDA)と広島大学は4日、包括的連携協定を締結したと発表した。広島大が実施する臨床研究などを共同で実施していくほか、大学院と連携してPMDAと人材交流を図ることにより、生物統計学や薬物動態学などの専門性の高い人材を育成することを目指す。同協定の締結は、国立がん研究センターに次いで2番目となるが、大学との締結は初めて。
今回の協定の締結により、広島大が実施する臨床研究や大学病院での調査、研究をPMDAと共同で行い、医薬品・医療機器などの適正使用を進めていくほか、広島大の教育プログラムや大学院と連携することで、PMDAの職員もプログラムを受講できる研修を実施する。こうした人材交流を進めることにより、生物統計学、薬物動態学、医工学などの専門性の高い人材を育成していきたい考えだ。
広島大は、イノベーション創出に挑戦するグローバル人材を育てるための教育力、研究力を両輪とした大学改革に取り組んでいる一方、PMDAはレギュラトリーサイエンスの推進を図ることで医薬品などの審査、安全対策業務の質向上に努めてきた。
こうした中、広島大とPMDAの両者は協定を結ぶことによって、大学ならではの異分野融合型の人材育成、共同研究の推進などに取り組んでいくことで一致した。既に同協定は、2月に国立がん研究センターと初めて締結しているが、大学との協定は広島大が初めてとなる。
PMDAは、2009年に連携大学院制度を立ち上げ、これまで19の大学院とPMDA職員による講義の実施や大学院生の受け入れといった交流を行ってきたが、同制度の対象は大学院のみであり、PMDAと連携先の双方にメリットのある関係が構築しにくい課題があった。
そのため、昨年4月に連携大学院制度を発展的に解消。包括的連携協定に衣替えし、連携先を大学院に限定せず、大学や高度な臨床研究を行う病院、研究機関との関係構築を進め、PMDAへの職員派遣を核とした人材交流や共同研究を行う方針を打ち出していた。