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抗菌性を有する銀HAコーティング人工関節を開発、販売へ-佐賀大と京セラメディカル

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2016年03月07日 PM06:00

ハイドロキシアパタイトに酸化銀を含有、新技術で抗菌加工を達成

佐賀大学と京セラメディカル株式会社は3月4日、両者が共同開発した銀HAコーティング人工関節「AG-PROTEX HIPシステム」について、都内で記者会見を行い、前佐賀大学学長で元医学部整形外科学講座教授の佛淵孝夫氏、佐賀大学附属病院副病院長 兼 医学部整形外科学講座教授の馬渡正明氏らが出席した。


AG-PROTEX HIPシステム

「AG-PROTEX HIPシステム」は、変形性股関節症や関節リウマチなどの関節障害に対して、セメントレスで行われる人工股関節置換術や人工骨頭挿入術で用いられる人工股関節。2015年9月に製造販売承認を取得し、同年12月に保険適用されていた。販売開始は2016年4月を予定している。

関節障害において、治療効果の高い人工関節置換術であるが、一度インプラントに細菌が付着すると、細菌がバイオフィルムを形成。抗菌薬や免疫細胞が働かない状況に陥ってしまう。たとえ洗浄し抗生物質を投与しても、難治性となり、やがては人工関節を抜去しなくてはならなくなってしまうこともある。そこでAG-PROTEX HIPシステムの開発にあたった研究グループは、人工関節術後感染症の撲滅に向け、無機系抗菌材である「銀」に着目。優れた骨伝導能を有するハイドロキシアパタイト(HA)に酸化銀を含有させ、インプラント表面に吹き付ける新技術で目的とする抗菌加工を達成したという。

佛淵氏「産学連携、製品化ではなく商品化を」


前佐賀大学学長の佛淵孝夫氏(右)
佐賀大学附属病院副病院長の馬渡正明氏

佐賀大学と京セラメディカルは、生体外での殺菌実験、骨伝導実験、細胞毒性実験やモデルラットでの細菌感染実験などを経て、2014年1月から20例(男性6例、女性14例)を対象に臨床試験を実施している。試験開始から1年5か月以上が経過した現在でも感染症の発生は0例だという。この20例の中には、B型肝炎やC型肝炎、2型糖尿病など術前合併症を患う易感染宿主と考えられる患者も組み込まれているため、強い抗菌性があると考えられる。

また、銀による重篤な合併症も認められず、血中銀濃度も術後2週間で最高値を示したものの一年間にわたり正常範囲内(15ppp以下)であったという。さらに、レントゲン検査でもゆるみはなく、抗菌性とともに固定性を保っていることが確認されている。

佛淵氏は「『プロジェクト:人工関節』という研究の中、2005年から京セラメディカルと抗菌生体材料について研究を行ってきた。その時から産学連携・医工連携は、製品化ではなく商品化を目指さなくてはならない。研究とビジネスがともにwin-winの関係でなければならないと強く意識してやってきた。結果として本日の発表した商品(AG-PROTEX HIPシステム)となり、その間に大学では6名の医学博士が誕生し、双方がうまくいったと言えるケース」と今回の製品化が産学連携成功のひとつのモデルケースであることを強調した。

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