厚生労働省は、政府が特区内での規制緩和の一つとして求めているテレビ電話などを活用して薬剤師に服薬指導を受けた場合でも、処方薬を受け取れるようにする国家戦略特区法改正法案で、特区内の薬局が基準を満たしているかを都道府県が事前に確認する登録制度を設けると共に、遠隔服薬指導の実施状況の記録・報告を薬局に義務づけることを明らかにした。
1日に省内で開いた全国薬務関係主管課長会議で報告した。薬機法では、人体への作用が著しい処方薬の服用は、重篤な副作用が生じるおそれがあるため、薬剤師による対面での服薬指導が義務づけられている。
しかし、昨年6月に閣議決定した日本再興戦略には、遠隔医療のニーズに対応するため、薬剤師による対面での服薬指導義務の特例として、医療資源が乏しい離島、へき地の居住者で、遠隔診療を受けたものの、対面での服薬指導ができない場合に限って、テレビ電話による服薬指導(遠隔服薬指導)を、国家戦略特区内で実証的に行えるよう、法的措置を講じることが盛り込まれた。
厚労省は今後、遠隔服薬指導を安全・確実に実施できるようにするため、特例の対象となる基準を策定するほか、特区内の薬局が基準を満たすかどうかを、都道府県知事、保健所設置市長、特別区長が事前に確認する登録制度を設けると説明。遠隔服薬指導を行った薬局に対しては、実施状況の記録保存・定期報告を義務づけるとした。
厚労省は、特例の適用を受けようとする薬局について、「基準を満たすかどうかを事前に確認してもらうことになる」とし、都道府県に協力を求めた。
また、特例を受けた薬局が適切に遠隔服薬指導を実施しているかどうかについても「指導いただきたい」と要請した。