日本病院薬剤師会は2月27日、任期満了に伴う役員候補選挙を行い、会長候補選で木平健治副会長(広島大学病院)が過半数の票を獲得して当選した。長年にわたって医療保険などを担当し、厚生労働省や関連学会の「経験や人脈」を通して「病院薬剤師の地位向上に取り組む」と訴えていた佐藤博副会長との一騎打ちとなったが、「会員との対話」を通して「夢とプライドを持って働ける環境づくり」を進めたいと主張していた木平氏に票が集まる結果となった。ただ、肝心の得票数については、選挙管理委員会の判断によって、会長、副会長選ともに「開示しない」という異例の措置がとられ、日病薬発足以来、初めてとなった正副会長ダブル選挙は、後味の悪さが残った。
木平氏は、当選後のあいさつで、「皆さんの声をいろいろな形で届けていただきたい」と語り、会員から寄せられた声をもとに、会務運営を行っていきたい考えを強調した。
2年後に控えている、診療報酬と介護報酬の同時改定についても触れ、「これからはかなり厳しい事態が待っている。ぜひ、皆さんの力を借りてこの難局を乗り切りたい」と会員に協力を呼びかけた。
5人の枠に6人が立候補した副会長候補選挙では、現職の松原和夫氏(京都大学病院)、土屋文人氏(日病薬)のほか、現常務理事の川上純一氏(浜松医科大学病院)、賀勢泰子氏(鳴門山上病院)、林昌洋氏(虎の門病院)を選出した。
選挙管理委員会は、総投票数が107票で、会長候補選において白票が2票あったこと、次期会長候補に選出された木平氏の得票数が規定の過半数に達していることは明らかにしたが、各候補者の投票数については「慎重に検討した」結果、「出さない」との判断を下した。
ただ、各候補者が選挙管理委員会に対して、自身の得票数の開示を求めた場合に限って、「本人にだけ開示するという結論になった」と説明した。
選挙管理委員会のこうした判断に対して、執行部などからは特に意見は出なかった。
それは、日病薬の規定では会長選、副会長選など選挙全般に関する事項は、選挙管理委員会の所管となっているためだ。
それでも選挙後には、「選挙を行ったのに数字を明らかにしないなんて、あまりに不透明すぎる」「これでは選挙に慣れていない団体と見られても仕方がない」といった不満の声が執行部だけでなく、候補者本人からも上がっていた。