化学療法との比較で全生存期間を有意に延長
MSD株式会社は2月29日、切除不能な進行または再発の非小細胞肺がんに対する効能・効果について、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)「ペムブロリズマブ」(遺伝子組換え)の製造販売承認申請を行ったと発表した。
画像はリリースより
肺がんは主な部位別がんにおいて死亡率が最も高く、年間約73,000人が死亡している。組織型によって、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)に分かれるが、非小細胞肺がんは肺がんの約85%を占めており、切除不能または転移性の非小細胞肺がんは最も治療の難しいがんのひとつであるため、新たな治療薬の開発が必要とされている。
ペムブロリズマブは、抗腫瘍作用を有する活性リンパ球に主に発現するPD-1受容体と結合し、腫瘍細胞に主に発現するリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害するヒト化モノクローナル抗体。PD-1受容体リガンド相互作用を阻害することによって、抗腫瘍免疫応答を含むPD-1経路を介する免疫応答の抑制を解除する。臨床開発試験のひとつであるKEYNOTE-010試験では、治療歴のあるPD-L1陽性の進行性非小細胞肺がん患者において、化学療法と比較して全生存期間を有意に延長したことが報告されている。
切除不能または転移性の悪性黒色腫に対しても製造販売承認申請済み
同剤は、米国食品医薬品局(FDA)により進行性悪性黒色腫、および非小細胞肺がんに対する「画期的治療薬」(Breakthrough Therapy)指定を受けて迅速承認され、マイクロサテライト不安定性を高頻度に認める(MSI-H)転移性大腸がんに対する画期的治療薬にも指定されている。欧州でも進行性悪性黒色腫に対して承認を取得しており、現在、30種類を超えるがん種に対する開発と200以上の臨床試験が世界各国で進行中だ。
日本国内では、膀胱がん、乳がん、胃がん、頭頸部がん、大腸がん、ホジキンリンパ腫の適応症に対して臨床試験が進行中。2015年10月には治癒切除不能な進行・再発胃がんに対する効能・効果について、厚労省から「先駆け審査指定制度」施行後初めての対象品目のひとつに指定され、同年12月には、切除不能または転移性の悪性黒色腫に対する効能・効果について製造販売承認申請を行っている。
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