根本的な治療法のない極めて重篤な伴性劣性の遺伝性希少疾患
第一三共株式会社は2月25日、株式会社Orphan Disease Treatment Institute(以下、ODTI)と共同開発中のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療剤「DS-5141b」の最初の臨床試験(国内での第1/2相臨床試験)において、被験者に投薬を開始したことを発表した。
DMDは、民族差なく、新生男児の約3,500人に1人で発症することが知られている。2~5歳から軽度の自立障害が起こり、年齢を重ねるとともに筋萎縮が進行して、各種運動障害がおきるとともに、最終的には心不全・呼吸不全等により、多くは20~30歳代で死に至る極めて重篤な伴性劣性の遺伝性希少疾患。DMDの発症原因は、患者の筋細胞でジストロフィンタンパク質が産生されないこととされているが、現在、根本的な治療法はない。
2020年までに国内製造販売承認を取得することを目標に開発中
今回試験が行われるDS-5141bは、DMD患者筋細胞内において、ジストロフィン遺伝子からメッセンジャーRNAが作られる過程で、エクソン45部分のスプライシングをスキップさせ、不完全ながらも機能が保持されたジストロフィンタンパク質を産生することでDMDの治療が期待される核酸医薬品。同社独自の修飾核酸であるENA(R)オリゴヌクレオチドを有効成分としている。
ENAは、核酸の糖部フラノース環の2′位と4′位をエチレンで架橋した修飾核酸。ENAを含む短鎖修飾核酸であるENAオリゴヌクレオチドは、相補的なDNAやRNAに対して高い結合力を示し、熱安定性やヌクレアーゼ耐性で優れた特性を持っているという。
なお、共同開発を行っているODTIは、株式会社産業革新機構と三菱UFJキャピタル株式会社の運用するファンドと第一三共との共同投資により、2013年に設立した会社。両社は同剤について、2020年までに国内製造販売承認を取得することを目標に、開発を進めていくとしている。
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・第一三共株式会社 ニュースリリース