成人の2.9%がIBS-C、でも薬剤は存在せず
アステラス製薬株式会社は2月24日、米国のIronwood Pharmaceuticals, Inc.より導入し、日本で開発しているグアニル酸シクラーゼC受容体作動薬「リナクロチド」(一般名)について、成人における便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)の効能・効果で、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。
同剤は、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体作動薬で、腸粘膜上皮細胞に発現しているGC-C受容体に局所的に結合する。GC-C受容体を活性化することにより、腸管分泌及び腸管輸送能を促進し、加えて内臓痛覚過敏を改善する。成人のIBS-Cと慢性特発性便秘(CIC)を適応症として、すでに世界30か国以上で販売されている。日本では成人の2.9%がIBS-Cと推計されているが、現在、IBS-Cの効能・効果で承認されている薬剤はない。
IBS-Cの成人患者500例で有効性、安全性を比較
同社によると、今回の申請は、主に、IBS-Cの成人患者を対象として日本で実施した第3相試験のプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験の結果に基づくもの。同試験では、日本のIBS-Cの成人患者500例を、同剤投与群(0.5mg)またはプラセボ投与群に1:1の比で無作為に割り付け、リナクロチドを12週間経口投与した際の有効性を検証するとともに安全性を検討した。
その結果、2つの主要評価項目である投与12週間における過敏性腸症候群(IBS)症状の全般改善効果及び残便感のない自発的な排便(CSBM)のレスポンダー率で、リナクロチド投与群はプラセボ投与群と比較して統計学的に有意な改善を示した。このうちIBS症状の全般改善効果のレスポンダー率は同剤投与群で34%、プラセボ投与群で18%(P<0.001)。また、CSBMのレスポンダー率はリナクロチド投与群で35%、プラセボ投与群で19%(P<0.001)だった。
さらに、腹部膨満感、腹痛・腹部不快感を含む、腹部及び便秘症状を見た副次評価項目でも改善が認められた。主な有害事象は下痢で、その発現率はリナクロチド投与群で9.6%、プラセボ投与群で0.4%であり、程度は全て軽度から中等度だった。
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・アステラス製薬株式会社 プレスリリース