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【薬学会136年会】薬学の将来方向性を探る-海外参加増で「国際化」意識

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2016年02月26日 AM10:00

日本薬学会第136年会が3月26~29日の4日間、「次世代の薬学への羅針盤―新しい薬学への出帆」をテーマに、横浜市のパシフィコ横浜で開かれる。海外からの参加者増を受け、初めてネームカードを日本語・英語併記としたほか、プログラムも国際創薬シンポジウムを拡充、薬局での外国人対応も議論するなど国際化を強く意識した。日本薬学会会員で初めてノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智北里大学特別栄誉教授の講演が行われる一方、薬学の将来を担う中高生向け講演会も企画し、次世代の人材輩出にも取り組む。伊藤智夫組織委員長(北里大学薬学部長)は、「薬学教育で改訂コアカリキュラムが始まり、薬剤師と薬学研究者の養成教育が再出発の時期に立っている。ここでもう一度、薬学の方向性を探っていく年会にしたい」と話している。

伊藤智夫組織委員長

■若手研究者の取込みも重視

今回の年会では、薬学会名誉会員として、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村氏の受賞記念特別講演を「目玉企画」に位置づけている。薬学会会員として初めての快挙を成し遂げた大村氏の講演は、年会最終日に1000人収容のメインホールで行われる。3階の4会場を全て中継会場とし、多くの参加者が集中して講演を聴講できるプログラムを編成した。

海外参加者が増加していることから、国際化を強く意識し、ネームカードを日本語と英語の併記とした。昨年に続いて行われ、薬学会理事会企画である国際創薬シンポジウムはプログラムを一層充実させ、プレナリーレクチャーでは、話題のC型慢性肝炎治療薬「」の開発者であるマイケル・ソフィア氏を招聘。招待ポスタープレゼンテーションの演題も36題に上る。国際化、創薬研究という視点で薬学会の存在意義をアピールし、減少傾向にある若手の企業研究者の参加を促して会員増につなげたい考え。

さらに、国際交流シンポジウムとして、ドイツ薬学会代表者の講演とFIPフォーラム「科学と実務の融合に向けた日本の薬学の底力を」を行うほか、4年後の東京オリンピックに向けた“薬局の国際化”を視野に、一般シンポジウム「東京オリンピック・パラリンピック2020に向けた薬局薬剤師と外国人患者のコミュニケーション」を企画している。

一方、将来の薬学を担う若手人材の取り込みも重視し、年会初日に横浜市と共催で中高生向け市民講演会「What is “薬学”?―中高生のための薬学への招待」を開催する。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の黒田照夫准教授が講師を務め、薬学がどういうものか、薬学部を卒業するとどんな仕事ができるのかについて、分かりやすく講演することになっている。

市民講演会は当初、定員100人を予定していたものの、応募多数により200人まで受け入れ人数を拡大した。それでも、現段階で208人の応募があるといった盛況ぶりだ。また、中高生の参加者は年会にも招待し、大村氏のノーベル賞受賞記念特別講演も聴講できるようにした。特別講演の聴講前には、薬科機器展示会のツアーも企画し、様々な機器を用いた薬学研究への理解を深めてもらうことにしている。

伊藤組織委員長は、「世界で新薬を創出できる国はわずか7カ国程度しかない。その中で、日本は世界3位の新薬創出国であるということを中高生に理解してもらい、創薬研究に興味を持ってもらいたい」と期待をかける。

その上で「国際創薬シンポジウムが昨年の年会からスタートし、海外からの参加者も増えてきて、いよいよ薬学会も国際化を真剣に考えなければいけない時期に来ている。それは一つの大きな流れであり、今年会では、そうした中で薬学の将来へ向けた方向性を探っていきたい」と意気込みを示している。

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