厚生労働省の薬事分科会審議参加規程評価委員会は24日、薬事・食品衛生審議会などで委員が審議に参加する場合の規程・運用の見直し案を大筋で了承した。審議会の委員が製薬企業から受け取った寄付金・契約金などの額が正しいかどうかを確認するため、支払った企業側にも申告額を照会する仕組みを本格的に導入すると共に、照会の対象を申請企業だけでなく、競合企業にまで拡大する。見直し案は、薬事・食品衛生審議会の薬事分科会でも審議する。
薬事分科会(部会、調査会含む)では、会議で審議される品目の製造販売業者と、競合品を製造販売する最大3企業について、委員が過去3年間に受領した寄付金・契約金などの額を厚労省に申告する仕組みを設けており、金額に応じて審議や議決への参加が認められている。
しかし、昨年6月には、薬事分科会の16人の委員が当初、受領なしと申告していたものの、実際は50万円以下の寄付金・契約金を受領していたことが明らかになった。
委員の申告漏れを防ぐため、既に2015年度から会議の開催前に委員の寄付金・契約金等の申告内容を製造販売業者に照会する仕組みを試行的に導入していたが、今回、本格導入することとした。
これに伴い、審議品目と市場で競合する品目を取り扱う製造販売業者にも照会の対象を拡大する。競合企業については、「金額ベースで影響が大きい」(厚労省)企業を最大で3社選ぶ。競合する企業が少ない場合は、1~2社というケースもあり得るという。
曽根三郎委員(徳島市病院局病院事業管理者)は、降圧剤など競合企業が多い分野の品目を念頭に、「多少広げてもいいのでは」と、柔軟に対応できる仕組みの構築を要望。
ただ、競合企業を増やせば、議決に参加できる委員の確保が困難になることが想定されることもあり、厚労省は「運用状況を見ながら検討したい」と応じた。
また、曽根委員は、製薬企業が透明性ガイドラインなどで自主的に寄付金の額を公表するようになっていることを踏まえ、日本製薬工業協会が各社の情報をデータベース化し、簡単に受領額を確認できるシステムを構築するよう求めた。