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【ライフサイエンス知財フォーラム】知的財産の紛争処理で議論-日系企業は訴訟に及び腰

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2016年02月24日 AM11:30

製薬企業が創出した新薬の知的財産権の紛争処理をめぐり、日本製薬工業協会とバイオインダストリー協会が22日に開催した「」のパネルディスカッションでは、日本での現状や今後のあり方に関する議論が行われた。産官学を代表するパネリストからは、日系企業は海外企業に比べると特許訴訟に及び腰であることや、知財制度の問題点が指摘された。

元知的財産高等裁判所所長で弁護士・弁理士の塚原朋一氏は、日本の製薬企業が抱える知財戦略の問題点について、「コスト面から特許出願をせずに、ノウハウによる先使用権で対応する事例が増えている」と指摘。知財の紛争処理についても、「訴訟をしたがらない」と企業側の姿勢を指摘した。

阿部・井窪・片山法律事務所の弁護士である片山英二氏も「日本企業と外国企業を比べると、日本企業では、訴訟に対する抵抗感が強い」との認識を示した。「特に大企業では訴訟を行うために経営トップの了承を得なくてはならず、大事な案件ではないものについては、和解で決着させようとするケースが多いように思う」との私見を述べた。

内閣官房知的財産戦略推進事務局内閣参事官の北村弘樹氏も、訴訟に及び腰な大手製薬企業のメンタリティを指摘。「出願件数は大手企業が多い反面、訴訟という紛争処理を取るのは中小企業が全体の6割に上る」とのデータを示し、「争いごとはあるよりない方が良いが、特許侵害を受けているのに、訴訟を起こせないとすれば問題ではないか」と述べ、権利者のマインドセットを求めた。

一方、一橋大学国際企業戦略研究科教授の相澤英孝氏は、「日本企業が米国で訴訟を起こした事例を見ていると、日本ではあまり原告になっていない企業が米国で訴訟を起こしている。メンタリティとして訴訟を起こしたくないのではなく、費用はかかるがリターンも大きい米国での訴訟を選択し、日本が選ばれていないだけ」と話す。その上で、特許権が民法の特例であることが問題と指摘し、「民法の原則にしがみつかないといけないのか。原告のマインドを転換するよりは、法律家のマインドを転換する必要がある」と制度面で変革する必要性を述べた。

産業側の立場として、日本製薬工業協会の知的財産委員会委員長の奥村洋一氏は、「ライフサイエンス分野では差し止め請求権で争うことが多く、医薬品が市場に出るかどうかが問題であり、損害賠償が問題になることはほとんどない。最近は米国でも日本でも判決までいかずに、途中で和解する事例が多くなっている」との現状を説明。それに対して片山氏は、「医薬品アクセスの観点から、既に市場に出回っている医薬品を差し止めることができなくなった場合に、損害賠償という問題が出てくる」として、差し止め請求権で解決できない問題もあるとした。

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