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高脂肪食摂取による動脈硬化発症、その鍵分子はC5a-東京医歯大

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2016年02月24日 PM01:00

コレステロール摂取と動脈硬化症との関連、エビデンスが不十分

東京医科歯科大学は2月22日、同大学大学院血管代謝探索学分野・先進倫理医科学分野の大坂瑞子助教、吉田雅幸教授らの研究チームが、高脂肪食摂取による動脈硬化症の発症には好中球の活性化が重要であり、C5aと呼ばれる補体因子が鍵分子であることを世界で初めて明らかにしたと発表した。この研究成果は、国際科学誌「Scientific Reports」オンライン版に英国時間の2月19日付けで掲載された。


画像はリリースより

過剰な脂質摂取は、動脈硬化症の発症に関与するといわれ、血中のコレステロール値が高いと動脈硬化症・心筋梗塞のリスクが高まる。また、血中のコレステロールを低下させる薬剤は心筋梗塞のリスクも低下させるとされている。しかし、食事からのコレステロール摂取と動脈硬化症との関連についてはエビデンスが少なく、食事からのコレステロール摂取制限を撤廃する動きも見られている。つまり、食事からの脂質の過剰摂取がなぜ動脈硬化症を引き起こすのか、十分に分かっていなかった。

研究チームは、動脈硬化症につながる血管炎症を観察するため、生体内蛍光顕微鏡システムを開発し、マウス生体内大血管の白血球接着現象の可視化実験を実施しており、このシステムによって動脈硬化症モデル動物の大血管では白血球接着現象が亢進していることを見つけている。しかし、食事由来脂肪の影響のみが血管炎症を起こすかどうかは知られていなかった。

Ca5標的とする診断・治療戦略の開発に期待

研究チームでは、生体内観察システムを使って高脂肪食を与えた野生型正常マウスの大腿動脈を注意深く観察。すると、動脈硬化モデルマウスのような白血球接着が投与2週間後から徐々に起こっていることを見出した。この時点で高脂肪食を食べているマウスと通常食を食べているマウスの血液中のタンパク質を網羅的に比較解析してみると、高脂肪食マウスでは補体成分であるC5aという分子が非常に高値であることが分かった。

さらに、C5aが好中球に作用すると単球走化因子として知られるMCP-1の産生が亢進することが判明した。これらの結果におけるC5aの重要性を確認するため、C5a受容体拮抗薬をマウスに投与し実験を行うと、大血管における白血球の接着は阻害され、血液中のMCP-1の上昇も抑制。好中球のみが特異的に蛍光発色するマウスや好中球分画のみを特異的に除去する手技を用いてマウスの実験を行うと、高脂肪食負荷によって大血管に接着している細胞は好中球であることが明かになったとしている。

今後、この研究で同定された好中球活性化因子C5aを標的とする新たな動脈硬化症・心筋梗塞の診断・治療戦略の開発が期待される、と研究グループは述べている。

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