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【イーピーミント】またSMOでデータ不正-血圧測定時刻を改ざん

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2016年02月22日 AM10:00


■事業承継した治験で発覚

SMOのイーピーミントが医薬品卸サンキの子会社サンキ・クリニカルリンクからSMO事業を引き継ぎ実施した治験で、CRCが血圧測定時刻を改ざんしていたことが分かった。旧サンキ社から転籍したCRCが治験実施計画書に規定された手順を守らず、血圧測定後に採血しなければならないところを、採血後に血圧を測定。その逸脱を正すため、事実でない血圧測定時刻をワークシートに記載する不正を行った。改ざんは治験開始後から行われ、昨年12月にサブ担当についた他のCRCが被験者対応した時に発覚した。SMOによるデータ不正は、エシックの患者日誌改ざん事件が明るみに出たばかりで、相次ぐ治験での不正に歯止めがかからない状況が続いている。

イーピーミントが昨年4月に譲受した旧サンキ社のSMO事業を引き継いだ治験で事件が発覚した。関与した医療機関は1施設、CRCは旧サンキ社からイーピーミントに転籍した1人。この担当CRCは血圧を測定し、その後採血すると治験実施計画書に規定された業務を、採血後に血圧を測定する逆の手順で行ってしまった。

さらに、CRCは血圧測定を手順通り採血前に実施したことにするため、実際には測定していない事実と違う時刻をワークシートに記載し続けていた。こうした不正行為は、2013年12月に治験が開始された当初から行われており、CRCは最初から手順を間違え、それを隠すために血圧測定時刻を改ざんした模様だ。この治験は不正を行ったCRCが1人で担当していたことから、事件の発覚が遅れ、昨年12月にサブ担当の別のCRCがつき、被験者対応を行った時にようやく表面化した。ただ、現時点で被験者への健康被害は認められていないという。

同社は、田代伸郎社長名で「関係者にご迷惑をかけお詫び申し上げる。不適切行為の発生を厳粛に受け止め、実態の把握と問題の究明を進めていく」と謝罪のコメントを出した。

現在、事件の解明に向けた社内調査が進行中で、さらに外部の弁護士を含めた委員による社外調査を実施する予定という。調査対象は、譲渡契約を結んだ昨年4月1日時点に稼働中の治験のみとなっているが、既に旧サンキ社は会社精算しているため、イーピーミントは譲渡対象となっていない昨年3月末までに完了した治験についても、旧サンキ社の調査に協力するとしている。

今後、再発防止策として、不正を行ったCRCが関与した治験を含め、受託している全ての治験におけるプロセス、データの品質確認を行うと共に、再発防止に向けた組織設置の検討を打ち出した。

SMO業界にとっては、昨年12月のエシックによる患者日誌改ざんに続き、わずか2カ月後の不祥事となる。北里研究所病院バイオメディカルリサーチセンターのナトリウム値改ざん事件も含め、ここ半年近くで3件の不正が相次ぎ発覚し、歯止めがかからない状況が続いている。業界団体の日本SMO協会がまとめた「臨床試験データの信頼性を確保するためのSMO自主ガイドライン」の履行徹底など、再発防止に向けた有効な対応が急がれる。

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