ミシガン大学の臨床および分子データと研究開発の専門知識を組み合わせ
英国のアストラゼネカと同社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門である米国のメディミューンは2月11日、慢性腎臓病(CKD)治療薬の新たな治療ターゲットの同定を目的とするミシガン大学およびイーライ・リリーとの共同研究契約を締結し、RPC2コンソーシアム(Renal Precompetitive Consortium:腎臓領域における競合他社との初期段階研究のためのコンソーシアム)に参画することを発表した。
このコンソーシアムは、ミシガン大学のMatthias Kretzler教授により収集された広範な臨床および分子データと、製薬産業の研究開発における専門知識・技能を組み合わせることを目的としている。
CKDの研究を進展させるため、Kretzler教授は1,000人超の患者や複数のCKD動物モデルの情報を含む腎臓データベースを確立してきた。同コンソーシアムでは、同データベースにアクセスし、CKDを増悪させる主要な分子メカニズムを探索し、治療薬の新たな標的となり得るターゲットを同定する。参加メンバーはそれぞれが持つバイオインフォマティクスならびに科学的能力を駆使し、同大学がすでに着手している解析をさらに進めることでコンソーシアムに貢献する。メンバーは、それぞれが関心のある標的を個別に探索する権利を保有しているという。
既存の医薬品を新たなCKD治療薬として活用も
アストラゼネカによると、CKDは全世界で2億人以上、米国では3000万人以上の成人が罹患しているとされている。年齢を問わず発症するが、高齢人口に多く発症し、発症率は増加しつつある。貧血はCKDの一般的な合併症で、透析療法歴の有無にかかわらず、貧血は患者の罹患率および死亡率の高さに関連する。さらに、CKDは循環器疾患の原因にも、合併症ともなりうる疾患で、アンメット・メディカル・ニーズは拡大し続け、世界的に重大な医療問題となっている。現在、CKDを治癒させたり、腎臓の機能低下を食い止めたりする治療法は腎移植以外には存在しない。
同社と同大学は、CKD治療に対する同社の循環器・代謝性疾患ポートフォリオが適切な治療ターゲットかを検証する目的で契約を締結している。今回のコンソーシアムへのアストラゼネカの参画はこれまでの契約を補完するものであり、新たな治療ターゲットを発見し、CKD増悪メカニズムに関する新たな知見に基づいて既存の医薬品を新たなCKD治療薬として活用していくとしている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース