ドセタキセルとの併用療法で、組織型にかかわらず
米国のイーライリリー社は1月28日、「ラムシルマブ」(商品名:サイラムザ(R) )について、欧州委員会から2つの適応症で承認を得たことを発表した。これにより、同剤はドセタキセルとの併用で組織型にかかわらず、治療歴のある非小細胞肺がん患者の治療に用いることができる欧州初の治療薬となる。
今回、承認となったのは、プラチナ製剤を含む化学療法後に増悪した局所進行又は転移性の非小細胞肺がん患者に対するドセタキセルとの併用療法と、ベバシズマブ、オキサリプラチン及びフルオロピリミジンによる一次療法中または施行後に増悪した転移性結腸・直腸がん患者に対するFOLFIRI(イリノテカン、フォリン酸及び5-フルオロウラシル)との併用療法。
同剤は、VEGF受容体2(VEGFR-2)に特異的に結合することにより、VEGFR-2のリガンドであるVEGF-A、VEGF-C及びVEGF-Dの結合に競合し、VEGFR-2の活性化を阻害するVEGFR-2抗体。VEGFR-2は血管新生を引き起こすVEGFの主要な受容体で、胃がん、肺がん、大腸がんを含むいくつかのがん種において、これらのリガンドとVEGFR2の相互作用に関連した腫瘍血管新生が生じるといわれている。
国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較第3相試験の結果に基づく
同社によると、今回の承認は、REVEL試験及びRAISE試験という2つの国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較第3相試験の結果に基づくもの。REVEL試験では、プラチナ製剤を含む化学療法を施行中または施行後に増悪した局所進行または転移性非小細胞肺がん患者を対象として、プラセボ+ドセタキセルと、ラムシルマブ+ドセタキセルを比較した。同試験には、非扁平上皮型及び扁平上皮型の非小細胞肺がん患者も組み入れた。
RAISE試験では、ベバシズマブ、オキサリプラチン及びフッ化ピリミジンによる一次療法中又は施行後に増悪した転移性結腸・直腸癌患者を対象に、ラムシルマブ+FOLFIRI を、プラセボ+FOLFIRIと比較した。
なお、同剤については、現在様々ながん種に対する単剤療法または他の抗がん剤との併用療法による複数の試験が実施あるいは計画されている。この大規模な国際共同開発プログラムにおいて、全世界で8,000人以上の患者が50件以上の関連試験に参加している。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース