世界約60か国で乳がんの適応承認済み、軟部肉腫では日本・欧州で申請中
エーザイ株式会社は2月12日、同社が創製した抗がん剤「ハラヴェン(R)」(一般名:エリブリンメシル酸塩)の進行または再発の軟部肉腫(平滑筋肉腫または脂肪肉腫)を対象とした臨床第3相試験(309試験)の結果が、総合医学誌である「The Lancet」電子版に掲載されたと発表した。
同剤は、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有していると言われる。従来の作用機序に加えて、最近の非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移能を減少させることなど、作用を有することが判明している。
同剤は、乳がんに係る適応について、2010年11月に米国で最初の承認を取得し、これまでに日本、欧州、米州、アジア等、約60か国で承認を取得している。軟部肉腫に係る適応では、2016年1月に米国で「アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む化学療法の前治療歴のある手術不能または転移性の脂肪肉腫」の適応で承認を取得し、日本、欧州では申請中。また、同剤は米国および日本において、軟部肉腫に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。
ダカルバジンと比較、OSにおいて統計学的に有意な延長を示す
同剤は、進行または再発の軟部肉腫を対象とした無作為化臨床試験において、単剤での全生存期間の延長が報告された唯一の薬剤。アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む少なくとも2レジメンの前治療後に増悪した、進行または再発の軟部肉腫(平滑筋肉腫または脂肪肉腫)を対象とした309試験の主要評価項目である全生存期間(OS)において、同剤投与群(中央値:13.5か月)は、対照薬であるダカルバジン投与群(同:11.5か月)に比較して統計学的に有意な延長を示したという(ハザード比0.77(95%信頼区間=0.62-0.95)、p=0.0169)。
同試験において、同剤投与群で、もっとも一般的に確認された有害事象(頻度25%以上)は、疲労、好中球減少、悪心、脱毛、便秘、末梢神経障害、腹痛、発熱で、これまでの同剤投与で確認された安全性プロファイルと同様だった。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース