厚生労働省は12日、「アレルギー疾患対策推進協議会」を開き、アレルギー疾患対策の現状や課題について参考人や委員の専門家から意見を聞いた。その中で気管支喘息をめぐっては、吸入薬の器具が複雑化し、医師が外来で指導できる範囲を超えているとの指摘があり、専門的な教育を受けた薬剤師や日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会認定のアレルギーエデュケーターなどの人材育成の必要性が指摘された。
参考人として出席した国立病院機構福岡病院の西間三馨名誉院長は、昨年施行されたアレルギー疾患対策基本法について、国のアレルギー施策を長期的、継続的な視点で確立させるものとし、その内容の充実と実行を要請した。
その上で、日本における気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の推移を説明すると共に、課題を列挙し、特に喘息薬の吸入器具が複雑化し、「医師が外来で指導できる範囲を超えている」と指摘。アレルギー疾患に関する専門教育を受けた看護師、薬剤師が取得できる日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会「認定アレルギーエデュケーター制度」を紹介した。
「アレルギーエデュケーター」とは、患者が正しい知識を持ち、治療の継続環境を維持するため、専門的教育を受けたコメディカルが知識と技術を持ち、患者教育を通して治療・生活管理の向上へ支援するものと位置づけられ、昨年5月時点で看護師や薬剤師、栄養士292人が認定を取得している。
患者の立場から、園田まり子委員(アレルギーを考える母の会代表)は、「服薬方法をエデュケーターに指導してもらい良かったが、次回にはいなくなるとの声があった」との事例を紹介。武川篤之委員(アレルギー患者の声を届ける会代表理事)は、「吸入器具の種類が多く、処方された薬が替わるたびに使い切れない。医師から先発品、薬剤師から後発品の説明がされると、なおさら分からなくなる」と訴えた。