「再生医療等製品」としては初めて
ニプロ株式会社は2月10日、札幌医科大学と共同開発を進めている脊髄損傷患者対象のヒト体性幹細胞加工製品「自己骨髄間葉系幹細胞(STR01)」について、厚生労働省より再生医療等製品としては初の「先駆け審査指定制度」の対象品目指定を受けたと発表した。
同社によると、札幌医科大学では、患者自身の骨髄に含まれる間葉系幹細胞を体外で約1万倍に増殖させ、その細胞を患者の静脈から点滴の要領で投与する再生治療の研究が進められている。間葉系幹細胞とは、神経や血管などに分化する能力をもった幹細胞のことで、この再生治療では自己の間葉系幹細胞が損傷した脳神経や血管、中枢神経を修復することで、脳梗塞や脊髄損傷の後遺障害に伴う神経症候や機能障害の改善、および要介護度の改善が期待できる。患者自身の細胞を用いるため副作用が起こりにくく、外科的手術を必要としない点で画期的とされている。
医師主導治験終了後に承認申請へ
脊髄損傷は、四肢麻痺を引き起こし、社会生活が困難な状況が継続する重篤な疾患であり、世界的にも有用な治療法がない現状にある。同大学では2013年12月にから脊髄損傷患者に対する医師主導治験(第2相)を開始。同社はこの再生治療の実用化をより迅速に行うため、その基盤となる培養技術の習得、大量生産に適した培養設備、消耗品などの共同開発の強化を進めている。同大学での医師主導治験が終了した後、ニプロが承認申請を行うとしている。
なお、先駆け審査指定制度の指定要件は、「新作用機序の画期性」「対象疾患の重篤性」「極めて高い有効性」「世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思」となっている。
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・ニプロ株式会社 ニュースリリース