体幹から離れた部位の筋肉が萎縮・変性する希少難病
東北大学は2月8日、現在欧米で進んでいる、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRVもしくはGNEミオパチー)の国際共同治験と併行して、日本でも東北大学病院を中心に第2/3相試験を実施すると発表した。これは、同大学大学院医学系研究科神経内科学分野の青木正志教授を中心とした研究グループが、日本医療研究開発機構(AMED)の難治性疾患実用化研究事業として行うもの。
GNEミオパチーは、10代後半から20代にかけて出現し、体幹から離れた部位から筋肉が萎縮、変性し、次第に体の自由が奪われていく有効な治療法のない希少難病。国内の患者数は300~400人程度と推定されている。
その原因遺伝子がシアル酸代謝に関わることが見出され、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部の西野一三部長らにより、非臨床試験でもシアル酸補充療法の有効性が示された。これを受けて青木教授らは2010年、世界で初めて医師主導治験として第1相試験を実施。その後、海外と同じ徐放製剤にて、患者を対象とした医師主導第1相試験(追加)を実施していた。
東北大学病院など国内5施設で実施、患者約20人が参加予定
今回、東北大学病院のIRB(治験審査委員会)において、GNEミオパチーを対象としたN-アセチルノイラミン酸の第2/3相試験を実施することが承認された。今後、同院を含めた国内5施設で実施し、約20人の患者が参加する予定となっている。
この治験は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との対面助言相談を経て実施するもので、すでにPMDAに治験届を提出し、1月25日以降に開始可能。治験は2017年3月までを予定している。治験薬は、海外で臨床試験に使用されている薬剤が、協力企業(ノーベルファーマ株式会社)から提供される。今回の第2/3相試験は、日本のGNEミオパチー患者を対象に治療効果を判定し、実際に治療薬として臨床使用できるかどうかを判断するための非常に重要な試験となる。
なお、治験情報は大学病院医療情報ネットワーク臨床試験登録システム(UMIN-CTR)で、UMINID:000020683として公開されている。
▼関連リンク
・東北大学 プレスリリース