リハビリ現場のニーズに応じたロボット求められる
京都大学は2月9日、同大学医学研究科の坪山直生教授の研究グループが、サンコール株式会社と共同で、歩行障害を抱える人々の歩行リハビリテーションを効果的に実現できる「モジュール型wearable歩行支援機器Attached Robotic Unit Knee-ankle-foot orthothesis」を開発したと発表した。
画像はリリースより
開発の背景として、脳卒中の後遺症や脊髄損傷などにより、歩行に何らかの障害を抱える人々のリハビリを支援するロボットは数多く開発されているが、現状では大型で患者や医療従事者の負担が大きい機器が多く、このような技術が一般的に普及するには至っていない。リハビリ現場のニーズに応じた効果的なロボットの開発が求められていた。
2016年度から実証的検証開始、支援機器としての有用性高める
同大学によると、同機器は、モータとセンサーを内蔵したアタッチメントを、使用者が歩行リハビリにおいて長下肢装具に取り付けることにより、歩行中に本来あるべき運動を再現できる。センシング機構とモータが一体となったモジュールは軽量なため、一台で左右どちらの下肢にも装着でき、高い汎用性を有する。また、歩行運動の原則や脳卒中後片麻痺患者の歩行の特徴を踏まえ、装着者の歩行の状態を自動判別して、より適切な歩き方を学習させるための支援を行うこともできる。
研究グループは、2016年度から、病院や施設を対象に安全性や有効性を含めた実証的な検証を進める予定。歩行だけではなく、階段の上り下りなどの生活上で必要な運動を支援できるプログラムの開発も目指し、これにより、歩行障害を招く代表的な疾患(脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺など)に対する支援機器としての有用性を高めるとしている。加えて、運動支援のために必要なその他のモジュール(運動評価用のモジュールなど)も同時に開発を進めるとしている。
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