今回のガイドライン案によると、電子処方箋の運用は、移行期の仕組みとして、医療機関でサーバに電子処方箋を登録し、患者に「電子処方箋引換証」を発行する。引換証を受け取った薬局では、処方箋IDにより電子処方箋を確認。医療機関からの診療やアレルギー歴等の情報も合わせて取得し、薬剤交付や服薬指導を行う流れになる。患者が電子お薬手帳を持参している場合は、お薬手帳に記録する情報も提供する。
電子処方箋のメリットとしては、医療機関と薬局での情報共有が進み、後発品への変更など調剤した結果も共有できる点を提示。電子お薬手帳とも連携し、患者が自ら服薬している情報を電子的に管理できるほか、紙の処方箋の管理コスト削減につながるメリットを挙げた。
その上で、患者自らが薬局を選ぶことから、電子処方箋の本格運用が始まるまでは、電子処方箋に対応できない薬局でも患者が調剤を受けられるよう移行期の仕組みが必要と明記。移行期では、医療機関が処方の内容や処方箋IDなどを記載した「引換証」を発行し、患者が薬局に提出。それを薬局で確認して調剤するが、電子処方箋に対応できない薬局では、引換証を紙に転換して調剤を受けることができるとした。
患者にとっては、電子処方箋が導入されている地域では、紙の処方箋の代わりに引換証が発行されることになり、紙の処方箋のメリットも受けられる。
今後、厚労省は、処方箋の電子化を可能にするためe-文書法に基づく省令改正を行う。今月中にパブリックコメントを募集し、来月に省令改正、4月に施行する予定。地域医療連携ネットワークなど、電子処方箋の実施環境が整った地域から実働していくと共に、電子処方箋の調剤結果をお薬手帳に取り込めるようにするなど、電子お薬手帳とも連携し、かかりつけ薬剤師・薬局の推進を目指す。
処方箋電子化をめぐっては、同検討会が2013年にまとめた報告書で、処方箋電子化を後押しするため厚労省が2~3年後をメドに省令改正を行う方針を明記。昨年6月に閣議決定された改訂版日本再興戦略でも、15年度までに電子処方箋運用のためのガイドラインを策定する工程表が示されていた。