妊婦のジカウイルス感染で、子どもの小頭症リスク高まる
仏国のサノフィのワクチン事業部門であるサノフィパスツールは仏現地時間の2月2日、ジカウイルスの感染と発症の予防に向けたワクチン研究開発プロジェクトを立ち上げたと発表した。サノフィパスツールは、ジカウイルスと同じ科に属するワクチンの研究開発をリードする企業で、黄熱ワクチンや日本脳炎ワクチン、最近ではデング熱ワクチンの承認を取得している。
ジカウイルスは、デングウイルスときわめて近いウイルス。いずれもフラビウイルス科に属し、同じ種類の蚊が媒介し、急性期症状に関しても似ている。ジカウイルス感染でよく見られる症状は、発熱、発疹、関節腫脹、結膜炎および頭痛。しかし、妊婦がジカウイルスに感染すると、小頭症と呼ばれる先天異常の子どもが生まれるリスクが上昇することを示すエビデンスが得られつつある。小頭症とは、頭部が異常なほど小さく、脳の発達が損なわれる疾患で、通常の発現率は低いことが知られている。
デング熱ワクチン「Dengvaxia」に関する専門性応用で
ジカウイルスは最近までは発生例が少なく、感染しても症状が軽いウイルスと考えられてきた。2015年5月に汎米保健機構(Pan American Health Organization、PAHO)は、ブラジルでジカ熱の最初の感染例を報告し、その後はアメリカ大陸の全体に拡大。米国では、保健当局がプエルトリコでジカ熱の感染例を1例報告しており、その他米国に帰国した旅行者にジカ熱が認められた例が複数発生している。米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)では、妊婦に対して、ジカ熱が流行中の中南米およびカリブ海諸国への渡航を延期するよう勧告している。
現在、ジカ熱に対するワクチンや特異的治療法はなく、ジカ熱の対策については、ジカウイルスを媒介する蚊の駆除が重要となっている。
同社は、先ごろ承認を取得したデング熱ワクチン「Dengvaxia(R)」に関連して構築した専門性と、研究開発部門や産業基盤を応用することで、ジカウイルスの感染様式を理解し、臨床開発へと進めるワクチン候補を速やかに特定できる可能性があるとしている。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース