関節リウマチ治療薬としての有用性検討
米国のアッヴィ社は現地時間の1月8日、開発中の1日1回投与の経口選択的JAK1阻害薬「ABT-494」の関節リウマチ(RA)治療薬としての有用性を検討する大規模な第3相臨床試験プログラムを開始したと発表した。このプログラムは、従来型または生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)で十分な効果が認められなかった成人患者およびメトトレキサート(MTX)による治療経験のない患者を対象として行われる。
ABT-494の第2相臨床試験として実施されたBALANCE-1試験およびBALANCE-2試験のデータは、2015年9月に発表された。このデータから、抗腫瘍壊死因子製剤(TNF)またはメトトレキサートによる前治療で効果が不十分であったRA患者に6、12および18mg 1日2回、24mg1日1回の各用量で投与した場合のABT-494の有効性が確認された。
同社によると、全5試験の第3相試験のうち最初の2試験については、すでに米国で患者の登録が開始されている。このうちの1試験では、MTXによる前治療で効果が不十分であった中等度から重度の活動性RAを有する成人患者を対象に、ABT-494とMTXの併用療法を「ヒュミラ(R)」(一般名:アダリムマブ)を実薬対照として比較検討する。
クローン病患者対象の第2相試験も進行中
もう1試験では、従来型合成DMARDに対して効果不十分または不耐容であった患者を対象に実施。これらの試験では、安全性および忍容性の評価に加えて、米国リウマチ学会(ACR)の基準による改善率および疾患活動性を含む有効性の重要な評価項目についても評価を行うとしている。
この他の3件の第3相臨床試験への患者の登録は2016年前半に開始。これらの試験は、生物学的製剤で効果が不十分であった患者およびMTXによる治療経験のない患者を対象として実施する予定。
同剤は、RAにおける炎症過程に重要な役割を果たすJAK1を選択的に阻害する第二世代の経口薬として研究が進められており、クローン病の患者を対象としたABT-494の第2相試験も進行している。
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・アッヴィ合同会社 プレスリリース