EGFRm T790M NSCLC成人患者の治療薬として
英国のアストラゼネカは2月3日、「TAGRISSO(TM)」 (AZD9291、一般名:osimertinib)80mg錠1日1回投与が、局所進行あるいは転移性の上皮成長因子受容体(EGFR)T790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者の治療薬として、欧州委員会(EU)より販売承認を取得したことを発表した。
同剤は、転移EGFR 790M変異陽性NSCLC成人患者の治療を適応とする世界初の医薬品。In vitro試験により、臨床的に関連する一連のEGFRmおよびT790M変異陽性NSCLC細胞株全体の変異EGFRリン酸化反応に対し強力な阻害活性を有する一方で、野生型EGFR細胞株に対しては阻害活性が著しく低いことが確認されている。
承認された適応症は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による前治療の有無にかかわらず、T790M変異陽性NSCLC。同剤による治療の適格性は遺伝子変異の状況により異なるため、腫瘍組織あるいは血漿を用いた検査結果に基づき決定する。循環腫瘍DNA (ctDNA)の血液検査が可能になれば、医師や患者はT790M変異の診断において、複数の選択肢を有することになる。
客観的奏効率66%、無増悪生存期間中央値9.7か月示す試験結果に基づき
同社によると、EUの同剤に対する承認は、EGFR-TKIによる治療中あるいは治療後に病勢が進行した474人のEGFRm T790M NSCLC患者における有効性を示した2本の第2相試験(AURA延長試験およびAURA2試験)およびAURA第1相拡大試験のデータに基づいている。客観的奏効率は第2相試験併合解析において66%、第1相試験では62%。無増悪生存期間(PFS)は第2相試験併合解析で9.7か月、第1相試験では11か月。奏効期間中央値は、第1相試験で9.7か月であり、第2相試験併合解析では、DOR中央値に到達しなかった。
2本のAURA第2相試験における代表的な有害事象は概して軽度から中程度であり、主な有害事象は下痢、発疹、皮膚乾燥および爪毒性。警告および使用上の注意には間質性肺疾患とQT間隔延長が含まれている。
EUにおける同剤の販売承認は、欧州医薬品庁(EMA)の迅速審査手続きを経て付与された。今回の承認取得は、2015年11月のFDAによる迅速承認および2015年12月の英国における医薬品早期アクセスプログラム(EAP)による供給に続くもの。同剤は、日本では厚生労働省から優先審査品目に指定されており、世界のその他の地域でも、薬事当局との協議が進展中となっている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース