男女約8万人対象に、朝食欠食と脳卒中の関連分析
国立がん研究センターは2月4日、多目的コホート(JPHC)研究から、朝食の欠食と脳卒中のリスクとの関連を検討した研究結果を発表した。朝食の摂取回数が週に0~2回と少ない人は、毎日摂取する人に比べ、脳出血のリスクが高いことが示されたとしている。研究論文は、「Stroke」のWeb版にて先行公開された。
画像はリリースより
朝食を欠食すると肥満、高血圧、脂質異常症、および糖尿病のリスクが上がることは多くの研究で示されてきた。しかしながら、朝食の欠食と脳卒中および虚血性心疾患のリスクについてはほとんど研究されておらず、脳卒中に関する研究はこれまでになかった。そこで、国がんでは、朝食欠食と脳卒中および虚血性心疾患との関係を検討した。
研究では、1995年または1998年に長野県佐久など9保健所に住んでいた45~74歳の男女約8万人を、研究開始時に実施したアンケートの1週間当たりの朝食摂取回数に関する質問項目への回答から、週に0~2回、週に3~4回、週に5~6回および毎日という4つの群に分類。その後の脳卒中および虚血性心疾患発症との関連を分析した。平均で約13年の追跡期間中、3,772人の脳卒中発症と870人の虚血性心疾患発症を確認した。
朝食欠食による朝の血圧上昇が原因
分析結果によると、朝食を毎日摂取する群に比べ、週に0~2回摂取する群の発症リスクは、脳卒中全体で18%、脳出血では36%、統計学的に有意に高かった。しかし、くも膜下出血、脳梗塞および虚血性心疾患については、関連は見られなかった。さらに、もともと体調が悪く朝食が摂取できない人のいた可能性を考慮して、研究開始から5年以内に循環器疾患を発症した人を除外して検討を行ったが、同様の結果が見られた。
脳出血の最も重要なリスク因子は高血圧で、特に、早朝の血圧上昇が重要なリスク因子であると考えられている。また、朝食を欠食すると空腹によるストレスなどから血圧が上昇することや、朝食を摂取すると血圧上昇を抑えられることも報告されている。このことから、国がんは、朝食を欠食することで朝の血圧が上昇し、毎日朝食を摂取する人に比べて脳出血のリスクが高くなっていた可能性が考えられるとしている。
一方で、その他の循環器疾患にとっても高血圧は重要なリスク因子だが、朝食欠食とくも膜下出血、脳梗塞および虚血性心疾患との関連は見られなかった。この理由として、くも膜下出血および虚血性心疾患に関しては、統計学的に関係を検討できるほどの症例数がなかったこと、脳梗塞では、症例数は多かったが早朝の血圧上昇は脳出血ほど重要な因子ではないことが可能性として考えられるとしている。
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