カメラやウェアラブル機器で、より具体的なアドバイスや診療を目指す
IoTプラットフォームサービスを提供する株式会社オプティムと医療情報プラットフォームの提供を行うMRT株式会社は2月4日、国内初となるスマートフォン、タブレットを用いた遠隔診療サービス「ポケットドクター」を4月から提供開始すると発表。同日、都内で開かれた発表会では、オプティムの菅谷俊二代表取締役社長、MRTの馬場稔正代表取締役社長と同サービスに賛同する医師らおよそ20人が出席した。
発表会に出席したMRTの馬場社長(右手前)ら
遠隔診療は、離島のような僻地の患者を診察する場合など、対面での診療が困難なケース以外では原則禁止されていた。しかし、高齢化社会の進行に伴い、通院が困難な高齢者が急増することも考えられることなどから、2015年6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針2015)には、「遠隔医療の推進」が盛り込まれている。
従来の電話による音声通話のみの遠隔診療では、医師は相談者の話す内容でしか症状を判断できなかったが、ポケットドクターでは、スマートフォンやタブレットに搭載されているカメラやウェアラブル機器を利用。相談者の顔色や患部の状況、ウェアラブル機器から収集されるさまざまなデータを確認することが可能で、より具体的なアドバイスや診療が行えるとしている。
「かかりつけ医診療」、「予約相談」、「今すぐ相談」を順次提供
サービスの根幹となる「かかりつけ医診療」サービスでは、初診を行った医療機関に、どこからでも遠隔で再診を受けることができる。患者は医療機関に行くことなく、保険適用内で自身の体調を相談したり、怪我などの患部の状態を診察したりしてもらえるという。ほかにも、医師の時間を予約して各専門医に健康相談を行える「予約相談」(5分1,500円~)や、24時間365日医師に健康相談できる「今すぐ相談」(月額500円~)の提供も予定している。
なお、「かかりつけ医診療」では、2019年3月までに国内全医療機関のおよそ10%となる1万以上の医療機関の参加を目指す。「予約相談」では1,000人以上の医師の参加を、「いますぐ相談」では1万人以上の医師の参加を目標としている。
伊東信久衆議院議員「法整備の契機となれば」
ポケットドクターは、今後さまざまなメーカーが販売しているヘルスケア機器やウェアラブルデバイスとの連携も進めていく予定。これにより利用者が自覚していないようなバイタルデータの変化を医療機関と共有し、深刻な疾患の悪化を事前に検知できるように努めるという。
一方、サービスのどこまでが「電話による再診」の保険適用内となるのか、配薬の問題はどう解決するのか、集めたデータの管理・使用目的を法によって規定すべきではないかなど、不明瞭な点も少なからずあるのが現状だ。伊東くりにっく院長で大阪大学臨床医工学教育研究センター招聘准教授のほか、大阪維新の会所属の現役衆議院議員でもある伊東信久氏は「法整備が必要。ポケットドクターがその契機となれば」と、国を挙げた改革の必要性とポケットドクターが先陣を切る意味を口にした。