連携協定の締結式でNCCの堀田知光理事長は、「癌領域においてより有効で安全な医薬品や医療機器をいち早く臨床現場に届けるため、研究開発、審査・安全対策を科学的な根拠に基づいて的確に評価・判断する、レギュラトリーサイエンス(RS)をPMDAとの協力のもとに進めていきたい」とあいさつ。
PMDAの近藤達也理事長は、「NCCと連携・協力し、それぞれ持つ機能を相互に活用し、共同研究をはじめとする様々な取り組みを行うことは、RS推進にとって必要不可欠なこと」とした。
これまでも、PMDAとNCCは人材交流を行ってきたが、協定締結により、さらに強力な連携・協力体制を構築するとしている。
今回、PMDAとNCCは、▽共同研究の推進▽情報発信・普及啓発▽人材育成の推進――の3領域で相互に協力し合う。
研究面では、国の「革新的がん医療実用化研究事業」でNCCが実施する「新規抗がん薬の治療最適化を目指した包括的情報集積体制の確立に関する研究」を共同で実施し、新たに承認される癌領域の医薬品の適正使用促進を目指す。
NCCの藤原康弘企画戦略局長によると、市販後の安全性調査などで予期せぬ副作用が明らかになったようなケースで、血液や試料を用いた薬物動態解析や遺伝子解析などを行い、副作用の背景を明らかにするような取り組みも想定しているという。
人材育成では、PMDA職員に対してNCCでの研修を実施する。藤原氏は、具体的な教育要項として、▽トランスレーショナル・リサーチ実習▽薬剤部臨床実習コース▽研究倫理審査委員会現場実習――などを挙げ、PMDAの職員が現場経験を積むことは、「医薬品・医療機器の審査にも役立つ」と意義を強調した。
情報発信・普及啓発では、癌領域で薬事規制と臨床の双方を踏まえた実用性の高い指針・手引き作成などに向けて協力し合う。