昨年12月25日に施行されたアレルギー疾患対策基本法では、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーの対策を総合的に行うため、厚生労働大臣が基本指針を策定しなければならないとされた。そのため、厚労省は同協議会を開き、基本方針の策定に向けた議論をスタートさせた。
基本指針にはアレルギー疾患対策の推進に関する基本的事項、アレルギー疾患医療を提供する体制確保に関する事項、アレルギー疾患の調査・研究に関する事項等が盛り込まれる予定。今後、協議会では気管支喘息やアトピー性皮膚炎など各疾患について専門家からヒアリングを実施し、それぞれの課題に対し対策を検討した上で、基本指針案を検討していく。厚労省は、今夏頃をメドに基本指針をまとめ告示する予定で、基本指針に基づき、関係省庁などで必要な施策を実施していくことになる。
また、地方公共団体のアレルギー疾患対策の取り組みを把握するため、今年度中に都道府県や政令指定都市などを対象に実態調査を行うことにしている。
この日の初会合では、患者団体の代表から意見が表明された。アラジーポット代表の栗山真理子委員は、専門医と開業医の治療格差に困っていることを訴え、アレルギー治療の均てん化を要望。アレルギーを考える母の会代表の園部まり子委員も、全国どこに住んでいても適切な医療を受けることができるための施策の推進を訴え、「医療の均てん化をお願いしたい」と要望した。
意見交換では、海老澤元宏委員(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部長)が「アレルギー疾患の診療をどう担っていくか、専門医と開業医の共同作業が必要」との考えを示した。今井孝成委員(昭和大学医学部小児科学講師)は、「標準治療ではなく、標準でない不適切な治療について、それは間違いであるということもきちんと言っていくことが必要」と述べた。