レギュラトリーサイエンスの推進を目的として
国立がん研究センターは2月2日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と、日本のレギュラトリーサイエンスの振興に資することを目的として、同日付けで「包括的連携協定」を締結したと発表した。PMDAは、2015年4月より、従来の連携大学院制度を同協定へと発展・強化しており、国がんは同協定締結の第1号になる。
画像はリリースより
レギュラトリーサイエンスとは、第4次科学技術基本計画(2013年8月19日閣議決定)で、「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」とされている。2014年5月30日に制定された健康医療戦略推進法では、レギュラトリーサイエンスの振興を図っていくことが、国の方針として打ち出された。
国がんは、根拠に基づく標準医療の確立と普及のため、医師・企業主導治験の推進や臨床開発の基盤整備に取り組んでいる。PMDAは、医薬品、医療機器などの審査および安全対策、並びに健康被害救済の3業務を行っており、これらの業務の基調となる科学、レギュラトリーサイエンスの推進を図ることでPMDAの業務の質の向上に努め、国民の健康・安全の向上に貢献すべく取り組んでいる。
このような背景の中、国がんとPMDAはこれまでも人材交流を行っていたが、今回の協定の締結により強力な連携・協力体制を構築し、共同研究の推進や情報発信・普及啓発、人材育成の推進などに取り組むとしている。
「共同研究」「情報発信・普及啓発」「人材育成」で連携・協力
国がんによると、協定締結により期待される具体的な連携・協力内容としては、「共同研究の推進」「情報発信・普及啓発」「人材育成の推進」の3つが挙げられる。
共同研究について、国がんは、製造販売後の臨床研究・安全対策に協力する。国がんが実施する「新規抗がん薬の治療最適化を目指した包括的情報集積体制の確立に関する研究」を共同で行い、新しく承認されるがん領域の医薬品の適正使用促進を目指す。
情報発信・普及啓発としては、実用性の高い指針・手引きなどの作成を協力して行う。具体的には、がん領域で、薬事規制と臨床の双方を踏まえた実用性の高い指針・手引きなどの作成を目指す。
人材育成に関しては、研修体制を確立する。PMDA職員に対して、国がんでの研修を実施。国がん職員は、医薬品・医療機器行政での人材育成において、がん領域の専門家として貢献する。
▼関連リンク
・国立がん研究センター プレスリリース