■同一法人内の受付回数など要件に
厚生労働省は27日、2016年度診療報酬改定の骨子をもとに個別改定項目の算定要件などを中央社会保険医療協議会総会に提示した。かかりつけ薬剤師・薬局を評価するため、「かかりつけ薬剤師指導料」の新設を提案する一方で、いわゆる大型門前薬局の適正化策として、調剤基本料を5段階の加算で評価することとし、同一法人グループ内の処方箋受付回数に、特定の医療機関からの処方箋集中率と不動産賃貸借関係の有無を組み合わせた最も低い点数を新設。該当した薬局の調剤基本料を引き下げることとした。特定集中治療室管理料等における薬剤師の配置を評価する「病棟薬剤業務実施加算2」の新設も盛り込んだ。
新設の「かかりつけ薬剤師指導料」は、患者の同意の上、かかりつけ薬剤師として服薬指導等の業務を実施した場合に算定できる。患者の同意については、患者が選択した薬剤師をかかりつけ薬剤師とすることの同意を得ることとし、患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、患者の薬剤服用歴にその旨を記載する。
指導料は、患者1人に対して、1人の薬剤師のみがかかりつけ薬剤師として算定でき、患者の同意を得た後の次の来局時以降に算定可能となる。また、算定する薬剤師には、薬局での一定の勤務年数や在籍年数、1週間の勤務状況なども要件とするほか、薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定の取得なども求める。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「薬局ビジョンに則した内容になっている。薬局改革の元年だ」と評価する一方で、点数設定については、「あまり高くなりすぎないよう」などと、慎重な対応を求めた。
「かかりつけ薬剤師包括管理料」も新設する。地域包括診療料、地域包括診療加算等の算定患者を対象とし、「かかりつけ薬剤師指導料」の算定要件を満たした上で、患者の服薬状況等を薬学的知見に基づき随時把握し、医師にその都度情報提供すると共に、必要に応じて減薬等の処方提案を実施することが要件となる。
基準調剤加算1(12点)、同2(36点)はそれぞれ一本化し、施設基準の要件を厳格化する。具体的には、これまでの1と2の要件に加え、かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準の届け出を行っていることを求めるほか、後発品の調剤割合が低く、特定の医療機関からの処方箋集中率が高い薬局は加算が算定できないようにする。
幸野委員は、後発品の調剤割合が30~40%の薬局は「算定できないようにすべき」とした。
服薬状況を一元的に把握する観点から、患者が同一の薬局に繰り返し来局することを進めるため、薬剤服用歴管理指導料について、初回来局時の点数よりも2回目以降の来局時の点数を低く設定することを提案。ただし、手帳を持参していない患者または調剤基本料の特例の対象となる保険薬局は除くとした。
重複投薬・相互作用防止加算について、薬剤服用歴に基づいて過去の副作用歴やアレルギー歴を有することから処方医に対して疑義照会を実施して処方変更となった場合等についても当該加算を算定可能とする。
また、院内処方を行う診療所で後発品の使用を推進している場合の評価として、「外来後発医薬品使用体制加算1」「同2」を新設する。
「いわゆる門前薬局の評価の見直し」では、調剤基本料の特例となる対象範囲を拡大すると共に、これまで41点と25点の2段階だった調剤基本料を5段階に設定。
調剤基本料1が現行の41点、同2が25点の特例点数に相当し、同3は現行の特例点数よりさらに低く、最も低い点数になると見られる。同4は、1の要件を満たしているが未妥結減算制度の対象となった施設、同5は2の特例点数を算定し未妥結減算制度の対象となった施設が対象となる。
特例の対象となった保険薬局であっても、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合には特例の対象から除外する。これに伴い、特例対象を除外するための条件となっている「24時間開局」は廃止する。
後発医薬品調剤体制加算1(後発品の調剤数量55%以上、18点)、同加算2(65%以上、22点)については、点数を変えずに数量を引き上げる。
薬物療法の安全性・有効性の向上や医療費適正化の観点から、医師と薬剤師が連携して患者の処方薬剤を適正化する取り組みを評価する。