厚生労働省は、遺伝子検査ビジネスと診断(医行為)との関係について、遺伝子検査ビジネスは生活習慣等の環境要因が疾患発症に大きく関わる多因子疾患のみを対象とし、学術論文等の統計データと検査結果を比較しているにすぎない場合は、医行為に該当しないとの見解を示した。
その上で、高田史男委員(北里大学大学院医療系研究科臨床遺伝医学教授)は、「遺伝子検査ビジネスの健全な発展を遂げていくため、先走るようなビジネスに網をかける必要がある」と主張。小森貴委員(日本医師会常任理事)は、「消費者向け遺伝子検査ビジネスはあっていいが、所管が経済産業省でビジネスの観点から考えることが問題」と指摘した。
こうした懸念に対し、経産省は、個人情報保護法の上乗せ規定として「個人遺伝情報保護ガイドライン」を示し、遺伝子検査ビジネス事業者の遵守事項や品質保証についての指針を示していることを説明し、業界団体の「個人遺伝情報取扱協議会」が業界自主基準を設け、第三者委員会が審査する認定制度を立ち上げたことを紹介。今後、タスクフォースの議論を踏まえ、ガイドライン改訂と認定制度の周知、消費者庁との密接な連携に取り組んでいく方針を提示した。
鈴木正朝委員(新潟大学法科大学院教授)は、「同意があれば、検査結果をDTC広告に使うことは個人の権利、利益に関わる。本人の健康に資するために利用するのは反対しないが、広告への利用は慎重に進めていくべき」との考えを述べ、小森委員は「遺伝子検査については、臨床検査技師法と別の枠できっちり規制するのが国民への責任だ」と規制を訴えた。
一方、医療における遺伝子検査については、藤原康弘委員(国立がん研究センター企画戦略局長)が「国民皆保険下におけるゲノム医療と位置づけてほしい」と要望。既に日本は遺伝子検査キットのラグ時代に入っていると危機感を示し、日本の保険制度において遺伝子検査を位置づけるよう求めた。