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第三世代DES「シナジー ステントシステム」が発売、治療の選択肢拡大へ-ボストン・サイエンティフィック

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2016年01月28日 PM01:00

留置後4か月で消失する生体吸収ポリマ採用

薬物溶出ステント(DES)治療は、留置後の再狭窄に対し、有効性を実証してきたものの、体内留置後、一定期間経つとステント内で血栓が詰まってしまうステント血栓症が課題だった。その予防策として、抗血小板剤の二剤併用療法(DAPT)を一定期間継続することが推奨されているが、DAPTの投与期間が長くなる場合、出血イベントの増加などのリスクを伴うことから、期間の短縮が求められていた。各社が次世代DESの開発に取り組むなか、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社が第三世代DES「シナジー ステントシステム」を新発売。1月26日に都内で記者説明会を開催した。


東邦大学医学部医学科内科学講座教授の中村正人教授

同製品は、DESの薬剤の放出を一定に保つ役割を果たすポリマを血管の壁側に接する部分にのみ塗布する「アブルミナルコーディング」が特徴。留置後4か月が経過すると、体内で消失する生体吸収ポリマの採用で、ステントが血管の壁に覆われる内皮化の早期実現を可能にした。同製品が、ステント血栓症リスクのさらなる低減の可能性があるとしている。

最大のメリットは「コーティングの改善」

講演に立った、東邦大学医学部医学科内科学講座 循環器内科の中村正人教授は、「ステントのプラットフォームの改善、コーティングの改善、薬剤量の減少の3つを軸に、この10年の間、DESは第一世代、第二世代、第三世代と進化してきた。そのうち、第三世代DESの最大の特徴は、コーティングの改善にある」と語る。

「生体吸収性、アブルミナルで、量も少ない。ポリマ自体が起こす炎症のリスクは低くなる。薬がなくなるのと同じタイミングでポリマがなくなるのは、理論的にも理に適っている。正常な内皮化を促進するだけでなく、内皮機能を正常なものにし、結果的には動脈硬化の進行を抑え、PCI(冠動脈インターベンション)の長期成績改善につながることが期待される」(中村教授)

2014年度に実施された緊急PCI総件数は6万9,867件、待機的PCI総件数は18万5,549件で、(DES)留置件数(患者単位)は19万6,925件(日本循環器学会「循環器疾患診療実態調査2014報告書」)に上る。今後も循環器疾患の患者数は増加する見込みであり、より良いDES治療に向けて、さらなる技術の進化が望まれる。

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